サムソン魂受け継ぐメイショウヤマジロ 加藤厩務員「きっと走ってくれる」/POGマル秘週報

東京スポーツ

2021年09月15日(水) 21:09

06年の日本ダービー馬メイショウサムソン(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規

「いつか担当できたらと思っていたんですけど、なかなか縁がなくて。初年度から10年目にしてやっとかないました」

 感慨深げにこう話してくれたのは加藤繁雄厩務員。かつてメイショウサムソンを担当し、2006年の日本ダービー馬に導いた名厩務員です。

 JRA登録されたメイショウサムソン産駒はすでに400頭以上となりますが、加藤厩務員が担当するのは今年の2歳メイショウヤマジロ(牡=母エリモフィナーレ・梅田)が初めて。まだ入厩してきたばかりですが、「そういう目で見てしまうからかな? いろんなところにサムソンを感じる部分があって、運動中も“似てるなあ”って何回もつぶやいちゃいましたよ」というくらい、お父さんに共通した部分を持っている子なんだとか。

「パッと見はあまり似てないんですよ。でも、飛節の位置が高いところ、ちょっと我が強くて人間をよく見ているところ、ご飯を食べている時に近寄ると耳を伏せて怒るところ、こっちが少しでも油断するとナメてくるところ…そういう細かいところがサムソンにそっくりなんです」

 メイショウサムソンは松本オーナーが700万円で購入した馬でした。「第一印象は“雌牛”。ぽちゃぽちゃのゆるゆるで、ヌボーッとしていて…。緩すぎて1センチくらいの段差でもつまずきそうになるから“コイツ大丈夫かな”って」

 加藤厩務員がそう苦笑するくらい、当初は走るとは思えないような体をしていたそう。一方で「牡馬とは思えないくらい柔らかい筋肉を持っていたのが印象的でした。今思えば、僕の長い厩務員人生でも見たことがないくらい、理想的な筋肉の持ち主だったんです」。

 競馬を使った後、一度たりとも硬くなったためしがなかったというメイショウサムソンの筋肉。それは彼の生まれ持った才能のひとつでしたが、加藤厩務員がもっと競走馬として大切な資質と感じたのは「強靱なメンタル」だったそうです。

「瀬戸口厩舎は割とハードな調教をする厩舎でしたが、サムソンは体が緩い中でも、それにヘコたれたことがなかった。気持ちさえあれば、体は後からついてくる。それを教えてもらいました」

 メイショウサムソンの強靱なメンタル。それが映像として一番分かるレースは、瀬戸口厩舎解散により加藤厩務員の手から離れた後の08年宝塚記念(2着)だそう。

「直線を向く前、手応え的にはちょっと怪しくなっていたと思うんですけど、その時にアサクサキングスにぶつけられたんですよ。そしたらまたグイグイ伸びだした。サムソンらしいなと思いながら見ていました」

 普通、レース中に他馬と接触したりすると、走る気をなくしてしまうもの。でも、加藤厩務員の目にはその瞬間、メイショウサムソンが怒ったように見えたんですって。

「サムソンにはそういうところがありました。繊細なのに我が強くて、他の馬に対して“俺が一番だぞ”と威圧する感じっていうか…。しんどくてたれそうになったけど、ぶつけられたことでまたスイッチが入ったんじゃないかな」

 話がメイショウサムソン中心になってしまいましたが、ここからが本題。加藤厩務員から見て、メイショウヤマジロが最も父から受け継いでいる部分…それは“性格”じゃないかと言うんです。

「さっきも言いましたが、僕は気持ちさえあれば、体は後からついてくると思っているんです。もちろん能力の限界値はあるけど。そういう点で勝ち気で自分を持っているところがすごくサムソンに似ているヤマジロは、きっと走ってくるんじゃないかとニヤニヤしてしまうんですよ」

 ゲート練習をしだして3日で受かったセンスも持っているメイショウヤマジロ。まだ調教を始めたばかりなのでデビューは少し先になりそうだけど、父から受け継いだ強靱なメンタルと柔らかな筋肉がいい成長を見せてくれれば…。大成するのではと期待せずにはいられません。

(赤城真理子)

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