【エーデルワイス賞回顧】ハイペースで末脚生かしたスピーディキック/斎藤修

2021年10月15日(金) 18:00

エーデルワイス賞を制したスピーディキック(撮影:田中哲実)

 リリーCでは4コーナーでもまだ中団の位置から大外一気の追い込みを見せたスピーディキックだが、今度は内から馬群を縫うように伸びての差し切りは見事だった。

 外枠から抜群のスタートを決めたのはスティールノーヴァだったが、二の脚のダッシュでナックドロップスが先頭に立ち、これを追いかけたのが1番人気に支持されたヒストリックノヴァ。見るからに速い流れは、中間600m通過が33秒9という超ハイペース。これではゴール前で先行勢が一杯になり、前半脚を溜めていた馬たちとごっそり入れ替わるパターンと見ていたら、残り100m、外から脚を伸ばしてきたのがエイシンヌプリレディーアーサーら地元馬。

 逃げたナックドロップスは脚色が鈍ったが、しかしそのハイペースを2番手で追走したヒストリックノヴァが粘った。そこに内から1頭だけ際立った脚色で伸びてきたのがスピーディキックで、ヒストリックノヴァをクビ差とらえてのゴール。直線外を伸びた馬たちでもっとも脚色がよかったエイシンヌプリがアタマ差で3着に入った。

 それにしても前半ハイペースで後半はレースの上がりが38秒3とややかかったところ、中団追走だったとはいえ、前走リリーC(37秒4)以上の37秒0という脚を使ったスピーディキックのパフォーマンスはすばらしい。4コーナーでは内で行き場をなくして他馬と接触する場面もあったようだ。

 岩橋勇二騎手はこの馬の良さとして「精神的なタフさ」を挙げた。さらに「折り合いもつくし、もう少し距離が延びても走れる」とも。

 デビュー戦が1100mで、その後は1200mのみを使われてきたが、次走はJBC2歳優駿を予定しているという。さらに強敵相手の1800m戦となるが、まだ経験していないだけで、ゆったりしたペースに対応できればこなせる可能性はありそうだ。

 スピーディキックの父は、2012年のJBCスプリント(川崎)を制したタイセイレジェンド。この世代が3世代目の産駒で、血統登録数は初年度が18頭、2年目が14頭、そしてこの世代が11頭。スピーディキックのリリーCが産駒の重賞初制覇で、ダートグレードまで制することになった。

 3着までタイム差なしの入線で、6着レディーアーサーまで、勝ち馬から0秒3差。展開一つで結果が変わりそうな、レベルの高い接戦だった。

 その接戦6頭で、2着ヒストリックノヴァ、4着ブッシュガーデン、5着ナックドロップスという先行して粘った馬たちは中央馬で、1着スピーディキック、3着エイシンヌプリ、6着レディーアーサーら、いずれも中団から37秒台の上がりで追い込んだのが地元北海道勢だったという結果は興味深い。

 出走した中央4頭は、最下位だったヒノクニも含めていずれも芝の経験があり、そのスピードを生かしたレースを見せた。一方、上位接戦の地元3頭は5番人気以内で、着順での明暗は分かれたが、能力の高さは見せた。ハイペースに惑わされず地の利を生かして流れに乗った結果といえそうだ。

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