【阪神大賞典プレイバック】オルフェーヴルの怪物ぶりを満天下に示した“世紀の逸走劇”

2023年03月18日(土) 12:30

オルフェーヴルが大逸走から2着に巻き返した12年の阪神大賞典(ユーザー提供:ミスタールドルフさん)

 これほどまでに敗者が、勝者以上に注目を集めたレースがあっただろうか。12年の阪神大賞典。勝ったのは最内枠からロスなく運んだギュスターヴクライ。一方、圧倒的な存在感を示したのは2着に敗れたオルフェーヴルだった。

 前年に牡馬3冠と有馬記念を制し、現役最強の座を確たるものにしていたオルフェーヴル。その始動戦に選ばれたのが阪神大賞典だった。このレースで陣営がテーマとしたのは“無理に抑えず、普通のレースをしよう”ということ。というのも、前年の有馬記念は後方から豪快に捲っての勝利。強さを示した反面、秋に見据える凱旋門賞に向けては“普通のレース”を教えなければいけないという考えがあったからだった。しかし、結果的にこれが裏目に出る。

 序盤は好位を追走していたオルフェーヴルだが、鞍上の池添謙一騎手が抑え切れないといった感じで、正面スタンド前で2番手へ。そして場内がどよめいたのは2周目の3コーナーだった。並走していたナムラクレセントが向正面で引いたことで、オルフェーヴルが単独で先頭へ。これがトリガーとなったのか、3コーナーで外ラチ沿いに逸走してしまったのだ。

 どよめく場内。しかし、オルフェーヴルはこれで終わらなかった。他馬が走り続けているのを見て、競走馬の本能が呼び覚まされたのか、急加速して馬群に再接近。オウケンブルースリに騎乗していた安藤勝己元騎手が4コーナーで「戻ってきた!」と叫んだのは有名な話だろう。

 さすがにゴール前で脚が鈍り、ギュスターヴクライには半馬身差届かずの2着だったが、良くも悪くも“怪物”であることを証明した。このレースには逸走と巻き返し、2つの衝撃があったが、より多くのファンに印象に残ったのは後者だったのではないか。

 振り返れば、新馬ではゴール後に池添騎手を振り落として放馬、菊花賞でも放馬には至らなかったが、ゴール後に池添騎手を振り落とす場面があった。そして12年の凱旋門賞では誰もが勝ったと思った瞬間、内にモタれて急失速。ゴール寸前で伏兵ソレミアにかわされてしまった。その競走成績と同じ、あるいはそれ以上に強烈な個性で愛されたオルフェーヴル。そのキャラクターを決定づけたレースとして、12年の阪神大賞典は語り継がれることだろう。

関連情報

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・報告・コメント非表示の使い方
  • 非表示・報告をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 非表示・報告をクリックし「このコメントを通報する」を選択することで運営会社に申告できます。
  • ※報告内容について、削除等の処置をお約束するものではありません。確認を行った結果、違反が認められない場合は削除などの措置は行わない場合もあります。なお、報告に対する個別の回答は行っておりません。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

新着ニュース

競輪を手軽に楽しもう!netkeirin

ランキング

アクセス数

もっと見る

    注目数

    もっと見る

      ニュースを探す