◆第169回天皇賞・春・G1(4月28日、京都競馬場・芝3200メートル)

　芝3200メートルの長距離で争われる第169回天皇賞・春(28日、京都)で、サリエラが牝馬71年ぶり2頭目の制覇に挑む。牝馬の好走例は数少ないが、送り出す国枝栄調教師(69)＝美浦＝は「適性のある馬はいる。チャレンジだよね」と手応え。手綱を執るのは同レース最多8勝の「盾男」武豊騎手(55)＝栗東・フリー＝で、国枝師とのコンビ初のG1タイトルを狙う。

　70歳の定年引退まで残り2年弱となった国枝調教師は、サリエラと初コンビを組む武豊にも大きな期待をかけている。お互いに数々のビッグタイトルを手にしてきたが、このコンビでの重賞Vは20年の報知杯弥生賞ディープインパクト記念(サトノフラッグ)のみ。厩舎の居室に並ぶ口取り写真のパネルを指さして、名伯楽は「豊との写真をここに飾らないと。まだ一緒にG1を勝ったことがないから、勝てたらうれしい」と穏やかに笑った。

　そしてそこには“盾男”の異名をとるレジェンドへの揺るがぬ信頼がある。サリエラの父ディープインパクトで制した06年を含めて天皇賞・春は歴代最多の8勝を誇る。「やんわりと乗るジョッキーだから、いいんだろうね」と腕を買い、歴史的快挙を成し遂げてくれることを願っている。

19年ぶり牝馬で参戦の武豊騎手も信頼「牝馬に強い国枝厩舎やからね」

　〇…武豊にとって、今回が30回目となる春の盾。今年は05年のアドマイヤグルーヴ以来となる牝馬での参戦だ。「すごい名馬(89年イナリワン、90年スーパークリーク、91、92年メジロマックイーン、99年スペシャルウィーク、06年ディープインパクト、16、17年キタサンブラック)と勝ってきたなって感じはするかな。格式がある、重みがあるレースっていう感じは、子供のときからあった」と振り返る。3200メートルという特殊な舞台設定にも「(牡馬との差は)別に感じない。牝馬に強い国枝厩舎やからね」とレジェンドは意に介さない。自身の節目となる参戦で、また新たな歴史を刻む。