新旧菊花賞馬による名レースの陰で

年末の有馬記念は新旧菊花賞馬同士がお互いの実力と持ち味を出し切った
実に素晴しいレースだった。
3着に前年のグランプリホースが入り、国内のGIでもこれだけ心沸き躍るのは
久しぶりだったのではないだろうか。

2016年と2015年の菊花賞馬が歴史に残る名勝負を終えてから程なくして、
2014年の菊花賞馬トーホウジャッカルが引退を表明した。
結局、菊花賞後は6戦未勝利。
古馬初対戦の3歳の身で有馬記念を制したサトノダイヤモンド、着々と実力と
実績を積み上げて天皇賞・春とJCを制したキタサンブラックと比べたら、
残念な結果に終わった同馬。

それでもファンは忘れない。
1月31日デビューと遅咲きのキタサンブラックより更に遅いダービーの前日
5月31日にデビューして149日の最短記録で菊花賞を制した彼を。

3歳春には史上最強馬の素質があると言われた大器サトノダイヤモンドの
菊花賞より2秒以上も速いタイム3分1秒フラットと言う日本レコードで
淀を駆け抜けた彼を。

あの時、あの瞬間のトーホウジャッカルにはサトノダイヤモンドも
キタサンブラックをも凌駕しうる怪物の片鱗を確かにみせたのだ。
その後、菊花賞当時の体調には戻らず、結果は残せなかったが、
その怪物の素質が産駒に受け継がれたら、きっと父の無念を晴らすに違いない。

父はスペシャルウィーク。
サンデー系の種牡馬は飽和状態で彼にとって厳しい淘汰の世界は未だ未だ続くが、
あの菊花賞でみた輝きと奇蹟を信じて待とうと思う。