【矢作師】日本のホースマンの団結力は誇り

2020年04月01日(水) 21:17 0 6

 3月22日阪神大賞典が終わった夜、同じフライトでドバイに飛ぶ予定だった音無師、平田師とともに関西国際空港へと向かった。軽く買い物を済ませて坂口師も合流し、チェックインしようとしたまさにその時携帯が鳴った。「ドバイ国際競走は中止になりました」。驚きはしたが、どこか予感していた自分がいた。

 すぐに現地スタッフに連絡を入れる。ドバイでは出馬投票打ち合わせの真っ最中で、彼らにはまだ情報は知らされていなかった。後から聞いた話だが、現地では「フェイクニュースだろう」と取り合っていなかったらしい。レース6日前の中止で、信じたくなかった彼らの気持ちもよくわかる。

 しかし15分ほどで正式に中止が発表されると、そこからの日本人スタッフの動きの迅速さは見事の一語だった。既に現地に滞在していた森師と戸田師を中心に、馬と一緒に貨物便に搭乗できる7人(厩舎スタッフ6人、サポート1人)を選抜し他のスタッフを旅客便が全面停止されるまでの2日間で全員緊急帰国させた。そして29日に遠征していた20頭全馬が無事帰国するまでの間、残ったスタッフだけで全ての馬の面倒を見てくれた。そこには厩舎の壁も東西の壁もなく、まさしくオールジャパンの取り組みだった。調教師として感謝の念に堪えないし、見事ミッションをクリアした日本のホースマンたちを大いに誇りに思う。

 帰国者の自主的隔離やマスコミの取材制限、トレセンへの部外者立ち入り禁止、そして馬主さんは自ら一番行きたいはずの競馬場への入場を自粛した。みんなが開催継続のための努力を欠かしていないし、JRAは実に厳格にかつ非常にシステマチックに競馬開催を遂行している。今後の状況は全く不透明で楽観視できないが、在宅の人が増加している今、今後も継続的に健全な娯楽である競馬を提供し続けていければと願っている。


矢作 芳人

 1961年3月20日、東京生まれ。父は大井の矢作和人元調教師。東大合格者を多数輩出する開成高を卒業後、豪州で修業し84年に栗東トレセンへ。厩務員、調教助手を経て05年に調教師として厩舎開業。JRA賞は14、16年に最多勝利調教師、19年に最多賞金獲得調教師を獲得。31日現在JRA通算640勝。JRA重賞は41勝でうちJRAGIは12年の日本ダービーなど10勝。海外GIは16年ドバイターフ、19年コックスプレート。趣味は競輪、サッカー観戦など。

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