藤沢厩舎の元厩務員が引退馬養老牧場を開設

2020年08月26日(水) 06:39 1 20

 8月中旬、北海道新冠町に引退馬の養老を目的とした牧場がオープンした。

 代表を務めるのは藤沢和厩舎で活躍したJRA元厩務員の川越靖幸氏(55)。退職後は競馬の世界を離れて馬のグルーミング(手入れ)インストラクターとして活躍したが、生まれ故郷である新冠で牧場を開く決意を固めた。近年は競馬サークル全体の問題として、引退後の競走馬に対する積極的な支援活動への注目が高まっている。社会的意義、経済的な難しさ、そして何より馬に対する愛情について語った。


 ――牧場をオープンした理由を教えてください

 川越靖幸氏(以下、川越)まずは自分がかつて担当してた馬の末路を知ったことです。その馬がある日、色あせた姿で夢に出てきたんです。その馬は種牡馬を引退して用途変更になっていたのですが、気になったので北海道の友人に探ってもらうとすでにこの世にいないらしいことがわかりました。重賞を3つも勝ってくれた馬でもいなくなる。そういう事実があることは薄々分かっていましたが…。厩務員を辞めずに続けていたら、こうまで心は動きませんでした。

 ――厩務員の仕事を離れ、競馬の世界とは一定の距離を置いた

 川越 グルーミングの仕事をしていた時に、一般のOLや主婦の人たちが仕事やアルバイトをして馬を養う費用に充てている事実を知ったんです。厩務員時代の僕は馬が走るたびにお金が入る。勝てばうれしいし、ぜいたくもできる。馬からたくさんの恩恵を受けてきたのに、馬の引退後のことまで考えなかったし、ましてや引退した馬たちにお金を使ったこともなかった。多くの競馬関係者がそうだと思います。でも、主婦の人たちらは馬から何の見返りもないのにお金を使っている。それはある意味、衝撃でした。競馬関係者のようにインタビューをされたりしてマスコミに取り上げられることもないですよね。僕もそうでしたけど、競馬関係者は取材されたらきれい事を並べますから(苦笑)。引退した馬を引き取っている人たちに?なぜ人のためにたくさんお金を稼いできた馬が引退しても何もしないのか??と問われたら言葉に詰まると思います。僕も未熟な人間だから、今さらながら恥ずかしい気持ちになりました。


(あすに続く)


 主な担当馬はゼンノロブロイ、ゼンノエルシド、タイキシャトルなど。最後に所属した二本柳俊一厩舎でキリシマノホシと出会う。11年3月に退職。

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