角居師 凱旋門賞、日本の夢が叶う日は近い

2020年09月18日(金) 21:14 1 8

凱旋門賞はあこがれです。欧州の大レースの中では、勝てる可能性が高いレースだと私は思います。欧州の他の競馬場に比べて起伏も少なく、日本馬の特性であるスピードを生かせるコースです。

初めて挑戦したヴィクトワールピサの時は何もかもが手探りで“お客さん”の立場だったように思います。調教場には米国やドバイと違ってハロン棒がなく、追い切りの時計も計測できません。コースもたくさんあって自由度が高すぎ、どのコースでどれだけ走らせればどれぐらい負荷がかかるのか、イメージできなかったです。そこで現地の日本人ホースマンに聞きながら、言われるがままにメニューを組み「自分で馬をつくった」という手応えが感じられませんでした。

昨年のキセキについては、自分で調教したという実感はありました。私自身も度々滞在して調教場の特徴などを知り、私なりに考えてメニューを組み立てることはできました。当日の道悪はプラスになるかと思ったのですが・・・。天気も含めての競馬ですから仕方ありません。

やはり馬場状態は重要なファクターになると思います。キセキのレースが終わった後に思い出されたのが、エイダン・オブライエン厩舎の行動です。レース前に、調教師と騎手全員、アシスタントトレーナーが横1列に並び、スタートからゴールまでの2400メートルを延々と歩いていました。他の競馬場でも同じようにしていたのを覚えています。

欧州では日本のような人工の馬場ではなく、自然を利用した馬場で、草丈を整える以外は人の手が入っていません。彼らは馬場をくまなくチェックすることで、コース上で水のたまりやすい場所などを把握して、進路どりを考えていたのではないでしょうか。そして彼の厩舎には何百頭もの管理馬がいます。それに立ち向かうのは、大砲に竹やりで挑むような気持ちにもなりました。

どうすれば勝てるのか? 答えは難しいです。適性のあるタイプは分かりつつあるので、日本で頭打ちの馬を連れて行くのも面白いでしょう。ただ招待ではないのでオーナーの理解は欠かせません。ルール上は不可能ですが、フランスで厩舎を構えるプランを考えたこともあります。今年のディアドラは長期滞在で挑みますし注目しています。

日本馬が勝つ日は近いうちに訪れるでしょう。資質はトップクラスですし、スタッフの技量も世界一に近づいています。大事なのは諦めずに挑戦し続けることだと思います。

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