ムジカ、3月死去の先代オーナーに激走捧ぐ

2020年10月14日(水) 06:46 1 6

 ローズS2着のムジカ。亡き先代オーナーの思いに応える“恩返し走”があるか。

 天国からの熱い思いが背中を押す。「父は馬で夢やロマンを追いかけていました」とは馬主であるケーエスHDの代表、杉沢真吾さん。父はガンコなど濁点の入った3文字の馬名にこだわり続けた先代オーナー、杉沢光雄さんだ。誰よりもムジカに期待を寄せ、成長を楽しみにしていたが、今年3月、72歳で病気のため亡くなった。

 当歳の頃からムジカを見てきた鈴木孝師は「第一印象はヒョロヒョロっとして、脚長。正直、一か八か。メチャクチャ走るか、全然走らないかだと思いました」と振り返る。しかし、前オーナーの魂を受け継いだかのように、愛馬は覚醒。5月、オークスと同じ日に初勝利を挙げ、その2戦後に自力でG1切符もつかんだ。「牝馬でもG1挑戦という夢を私が引き継ぎ、思ったよりも早く夢のひとつがかなえられようとしています」と真吾さん。

 開業当時から馬を預かってきた調教師にとっては“恩返し”にもなる一戦だ。「感謝しています。初勝利が亡くなった後だったのは悔いが残るけど、G1に出走できるのは本当にうれしい」。様々な思いが重なり合う大一番。きっと天国から温かく見守られているはずだ。

<生産牧場も恩返しだ>

 特別な思いで大一番を待っている。ガンコやムジカを生産した新ひだか町の前谷牧場。ムジカの母ローズアダージョは前谷武志代表の息子、卓也さんが15年JS繁殖馬セールで目をつけ、杉沢前オーナーが1000万円で落札して牧場にきた馬だった。

 「血統背景が良く、父ディープという牝系。セールは私に任せてもらい買っていただきました」と懐かしそうに話す卓也さん。前オーナーとは家族ぐるみの付き合いだった。「懐の広い方で牧場をいつも気にかけてくれ、私を息子のようにかわいがってくれました。光雄社長から『頑張れよ』とエールをいただいているように感じます」と卓也さん。ここにも恩返しをしたい人がいる。

<ファンが命名 イタリア語で「音楽」>

 馬名は前谷牧場を見学に来ていたファンによって名付けられた。「ファンが『かわいい、かわいい』と言っていて、提案した名前を父も気に入りムジカになりました」。3文字濁点入りの厳しい基準をクリア。イタリア語でmusicaは音楽の意味で、英語のmusic(ミュージック)にあたる。G1で最高の演奏となるか注目だ。

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