引退の競争馬に流鏑馬の余生を 佐賀の牧場

2021年01月26日(火) 20:45 0 5

 佐賀県江北町の牧場「クラブ・リオ」が、引退した競走馬を伝統行事の流鏑馬(やぶさめ)で活躍させる取り組みを続けている。

 「生き生きと余生を過ごしてもらいたい」。代表理事の永松良太さん(39)=同町出身=は馬場の整備や、流鏑馬をモチーフにした絵本制作のためクラウドファンディング(CF)で資金を募っている。

 永松さんは中学2年の時、父親と佐賀競馬場(同県鳥栖市)でレースを観戦し騎手に憧れる。高校時代は隣町の乗馬クラブで腕を磨いたが、小柄な方が有利な騎手としては180センチを超す長身がネックとなり断念。高校卒業後は熊本県荒尾市の荒尾競馬場(2012年廃止)に就職、馬の世話を担当した。

 アイルランドに短期留学し、競争馬の調教や世話を学ぶため19歳で退職。生活の中に馬が溶け込んでいる現地の様子に驚いたことが、牧場を立ち上げる原点になったという。

 帰国後は、佐賀競馬場に就職して4年間を馬と過ごす。「引退後、この馬たちはどこに行くのだろうか」。成績が振るわないと殺処分されることも多い。「地域と関わりながら馬の新たな役割を見つけたい」との思いを強くした。

 08年に実家近くでクラブ・リオを設立。14年には荒尾で走っていた競走馬「マックス」と、地元の神社で途絶えていた流鏑馬を144年ぶりに復活させる。流鏑馬の歴史を教わり、的や矢を提供してもらうなど地域の支えが大きかった。

 現在は、馬2頭とポニー1頭を飼育し、子ども向けの流鏑馬体験会などを開いている。今後は、飼育数を増やす方針だ。

 CFの目標額は200万円で、約100メートルの練習場を整備し、厩舎を改修する。絵本は妻直子さん(46)と友人らが担当し、祖父が流鏑馬の歴史や復活までの経緯を孫に伝える物語で、CFの返礼品にするほか市販も予定する。

 永松さんは「流鏑馬を通じ、引退馬を支援する佐賀独自のモデルができれば」と話している。CFは30日までで、サイト「CAMPFIRE」からか、銀行口座振り込み、手渡しも可能。 (河野潤一郎)

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