1万分の1秒、命運見極め 決勝写真撮影

2021年03月01日(月) 20:51 0 0

JRAの決勝審判が参考とする判定用の「決勝写真」は、特殊な技術を使ったカメラで撮影される。

シャッターを切った瞬間を面で捉え、四角形の画像を得る「エリアセンサー方式」の一般的なデジタルカメラと違い、決勝写真は「ラインセンサー方式」の機械で撮影される。レンズの内側に幅0.02ミリメートルの線状のセンサーを設けてゴールに合わせておき、その線上を通過する馬を1万分の1〜1万分の2秒ごとにスキャンする手法だ。

仕組みとしてはコピー機の読み取り装置と同じ。コピー機はラインセンサー自体が動いて原稿を読み取るのに対し、決勝写真のカメラはセンサーを固定し、動く馬を撮影していく。ゴール地点には細い鏡も設置されており、鏡に反射する馬の姿も撮影される。そうすることで馬が重なり合ってゴールした場合でも、位置がわかりやすくなる。

JRAがウェブサイト上などで公開している決勝写真では、普通の写真のように馬や騎手の形が認識できるようになっている。ラインセンサー方式で連続して取り込んだ細い線状の静止画を一列一列、時系列に並べることで馬の姿を表している。

陸上などほかのスポーツでも判定用写真を撮るが、1万分の1秒ごとに撮影するJRAのカメラの精度は高い部類に入る。「海外の競馬と比べても、劣っていないのは間違いない」と決勝審判を務める佐藤晴紀さん。その分、画像に含まれる情報量も多く、1レースで2ギガバイトもの容量になる。

JRAの決勝審判は3人体制で執務する。スタンド上層階の部屋に、ゴールに向かってひな壇のような席が配置され、縦に3人並んで座る。それぞれの席の横には決勝写真が見られるモニターが設置されている。

まずは目視で全馬の到達順位を一人ひとりがノートに書き取って読み合わせる。モニターにはすぐに決勝写真が表示され、読み合わせが終わった後、この画像で出走全馬がゴールを通過したのを確認してから、着順掲示板に馬の番号を表示する。きわどい差になった場合には写真を参考に3人が話し合って判定する。

ファンのお金がかかる判定だけに「絶対に間違えてはいけない」と佐藤さん。「一方で次のレースも迫っているし、いかに早くお客さんに情報を提供できるか。迅速、かつ正確にという点で決勝写真の役割は重要」と語る。

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