マイネルパラディ復活勝利の裏側

2019年04月17日(水) 21:11 0 4

最終レース後に行われるゲート再審査のことを「13R」と呼ぶ。正式には発走調教再審査。

ゲート内の枠入、駐立、発走が悪い馬に課せられ、改善が見られないと競馬場まで行って13Rに合格しないとレースに出走できない。ラガーレグルスがゲート再審査を受けたケースを覚えている方もいると思う。

千種川特別を勝ったマイネルパラディは4回目でやっと合格。すると10か月ぶりに復帰して鮮やかに逃げ切った。

もともとゲート内で立ち上がるクセがあった馬。昨年HTB杯のゲート内で大きく立ち上がったため再審査が課せられ苦難の道は始まった。

最初は昨夏の札幌で丹内祐次騎手を背に受けたが不合格。栗東に戻ってからは国分恭介騎手が付きっきりで稽古をつけた。昨秋に京都で受けたときはひっくり返るぐらい立ち上がり、国分恭を振り落として不合格に。その後、去勢して阪神で2回受け今年3月にようやく合格した。

改善の兆しが見られたのは3回目の再審査。山田助手は「普通にやっては合格できない。本当は良くないけど、元気のない状態で競馬場に連れて行くことしかできなかった。かわいそうでも13Rに受からないことには、この馬は先がないわけだから…」。食欲旺盛で元気な愛馬には申し訳ない思いでカイバ、調教の量を減らして阪神競馬場に連れて行くと、少し立ち上がりはしたが、以前とはゲートの中での雰囲気が違う。そして「ギリギリ我慢してくれた」という4回目でついに合格した。

復帰戦ではスタート直前に少し立ち上がったが、好発を決めて完勝。だが国分恭は「今回も立ち上がって、すみません」と、レース後に田所秀孝調教師に謝っていた。「立ち上がってしまうと他の馬に迷惑をかけますから」と、勝ったことよりも他馬のことを気遣った国分恭。それでもスタッフ全員が「恭介は危ない思いをしながら一生懸命にやってくれて感謝の言葉しかない。山田助手も長い間、本当によく頑張っていた。苦労が報われてよかった」と喜んでいた。

13Rでは競馬場の独特の雰囲気でテンションが上がり、合格できないまま引退してしまう馬もいる。師は「引退させるといっても乗馬になるならいいけど、地方で走らせるとなると制裁がネックになって入れない地区がある。そういうことまで考えた。4回目でダメだったら仕方ないと思っていたけど、受かってよかった。みんな一丸となっての勝利。ドラマだね」と格別な1勝だった。

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