2015年01月31日(土) 12:00 29
考えてみれば、ウイスキーも西洋式競馬も、百数十年前までの日本にはなかったもの。ところが今や、“日本産”のレベルは本場に勝るとも劣らないところまで達しました。ウイスキーはもちろん、日本の競馬にも、“マッサン”のような人がいたからこそのことだと思います。
そうそう、社台グループの創業者・吉田善哉さんは、日本競馬界の“マッサン”の1人と言ってもいいはず。吉田さんをモデルにした連続テレビ小説(原作は吉川良さんの「血と知と地」)が制作されてもいいんじゃないでしょうか。
それはさておき、競馬(馬)に縁のあるウイスキーと言えば、みなさんはどの銘柄を思い浮かべますか?
スコッチでは、何と言っても「ホワイトホース」でしょう。この名前は「スコットランド、エジンバラに実在した1742年創業の“ホワイトホースセラー”という有名な旅籠」に由来しているとのこと。そこは、エジンバラとロンドンとを結ぶ乗合馬車の発着点で、馬車の乗客に「ホワイトホース」が振る舞われたそうです(日本の輸入販売元キリンのホームページから)。
アメリカのバーボンには、もっと競馬に縁の深い銘柄があります。ご存知の方も多いと思いますが、ボトルキャップにジョッキーを乗せた競走馬のフィギュアがあしらわれた「ブラントン」というウイスキーです。
このコラムを書くにあたっていろいろ調べていたら、あのボトルのフィギュアには「Blanton's」の8文字に合わせて、8つのスタイルがある、ということがわかりました。ジョッキーが背を伸ばして騎乗しているものから、前傾姿勢で馬を走らせているもの(馬の脚さばきによって6種類に分かれています)、さらには騎手がガッツポーズをしているものまであって、実によくできています。いやぁ、恥ずかしながら今まで全く気がつきませんでしたね。今後バーに行くときは、このウイスキーを注文してキャップの形の違いを観察してみようかな。
そしてもう1つ、「レキシントン」というバーボンがあります。こちらは、アメリカ有数の馬産地レキシントンの名を冠したウイスキー。ラベルには、荒野に立つ1頭のサラブレッドが描かれています。日本ではなかなか手に入らない逸品で、私はおととし、とある宴会で初めてお目にかかった吉田直哉さん(ケンタッキーでウインチェスターファームという牧場を経営されています)が持ってこられたものをお裾分けしていただきました。
競馬や馬にゆかりのあるウイスキーを片手にレースを楽しむ。かっこいいでしょう?馬券が当たれば、まさに至福の時になりますよ!
矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。