2015年04月02日(木) 12:00 14
その覚悟はとてつもない力を生むことを、高松宮記念で、香港のエアロヴェロシティとザカリー・パートン騎手は見せてくれた。中京の左回りコース、雨が降りボコボコに掘れた荒れた馬場、初めて経験する馬場状態でどう走らせるかパートン騎手は考えた。デビュー戦以来の左回りの克服は、慣れない左手前で走るコーナー部分はインコースをロスなく走らせ、直線は馬場のいい外に出す。最後はミッキーアイルと馬体を併せて加速、得意の右手前に替えてぐいとひと伸びし、先に抜け出していたハクサンムーンをかわし、ゴールを駆け抜けていた。未知な部分をどう乗り越えるか、しっかり覚悟を決めて臨んだところところに勝因があった。前を行く2頭のあいだを抜け出して行く姿に、人馬のガッツあふれる力を感じ、圧倒される思いだった。大事に臨んでいざというとき、うろたえずあわてず、こうと決めた覚悟を持って挑むことが至難なことと思うだけに、見事達成する姿に快感を覚えるとともに、大きな力をもらうことができたのではないか。覚悟はよいか、つねに問われていることを互いに覚悟したいもの。
競馬では、ファンの期待を一身に集めて戦うこともある。ここで負けるわけにはいかない。そんなケースにのぞむ人気馬の戦い方も大事に入る。かつて、ダービー卿CTに臨んだところサクラバクシンオー、さすがGIウィナーの底力と華のある勝ち方を見せてくれた。桜吹雪が舞う中、完璧な舞台でスターがイメージ通りの完璧な走りを見せてくれた、そんなシーンにも心奪われる。
長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。