2015年06月24日(水) 18:00 21
品評会審査風景(写真は二風谷共同トレセン)
今年は10牧場から計15頭が出陳され、品評会に先立ちカラーの立ち写真とブラックタイプが掲載された名簿が用意された。
午後3時30分に、町内の二風谷にある「びらとり温泉・ゆから」に集合し、そこから車列を連ねて各牧場を巡回する方式である。審査員は5名。山野辺啓・JRA日高育成牧場場長を筆頭に、JBBA静内種馬場場長・中西信吾氏、東京都トレーナー倶楽部会長・三坂盛雄氏、北海道競馬調教師会会長・桧森邦夫氏、楽天競馬スペシャルアドバイザー・古谷剛彦氏の各氏である。
それぞれ1人20点の持ち点で各馬の採点を行い、高得点の順に最優秀賞、金賞、銀賞、銅賞が決められる。
馬体、動き、馴致、血統などに加えて、牧場の環境などにも目が配られる。そのせいか、どこも手入れが行き届いていて、ひじょうに整備されている印象であった。
品評会審査風景(写真はスガタ牧場)
こういう行事でもなければ、普段、他人の牧場にわざわざ足を踏み入れる機会はそうない。名前だけ聞いたことがあっても、いったいどんな牧場なのか知らないというところが多いので、これはいわば未知の牧場を知る絶好のチャンスとも言える。
15頭とはいえ、牧場間の移動時間も見なければならないため、それほど見学時間は長くない。概ね5分刻みくらいで次々に移動して歩かなければならないので忙しい。
太陽が徐々に西に傾いていく中を、駆け足で巡回した。全馬を見終わったのは午後5時半過ぎであった。
品評会審査風景(写真は北島牧場)
幸い、終日晴天に恵まれたこの日は、夏至が近い時期でもあり、日没もかなり遅い。予定通り巡回を終え、午後6時より、場所を再び「びらとり温泉・ゆから」に移して、表彰式と懇親会が行われた。
今回受賞した牧場の関係各氏(写真左より稲原牧場、二風谷ファーム、スガタ牧場、審査委員長・山野辺啓氏、二風谷ファーム)
全体的にレベルの高い馬が多く、年々、馬の質が上がってきている印象である。今回、最優秀賞に輝いたのは、「ハナマルの26」(父ヨハネスブルグ、母ハナマル、母の父アフリート、牡栗毛)で、生産者は二風谷ファーム、飼養管理者は二風谷軽種馬共同育成センター。
どちらかというとダート血統だが、ふっくらとして、アフリート肌の特徴が良く出たまとまりのある体型である。二風谷軽種馬共同育成センターのロケーションもまた素晴らしく、品評会用に展示場所がきちんと整備されていた。
最優秀賞に輝いた「ハナマルの26」
金賞は、同じ二風谷ファーム生産の「シンプリーラヴリーの26」(父ゼンノロブロイ、母シンプリーラヴリー、母の父Bold Executive、牡青毛)。飼養管理者はオークツリーファーム。この馬はハナマルの26と同じく、体高154、胸囲175、管囲20.0というサイズながら、タイプが全く違って、芝向きの伸びのある体型である。青毛の毛色といい、ひじょうに見映えのする良い馬であった。個人的にはこちらの方が好きな馬に感じた。
金賞に輝いた「シンプリーラヴリーの26」
以下、銀賞は「オートキュイジーヌの2014」(父スマートファルコン、母オートキュイジーヌ、母の血フレンチデピュティ、牡鹿毛)で、生産、飼養管理者ともにスガタ牧場。ふっくらとした雄大な馬体の馬で、見るからにパワフルな印象であった。
銀賞に輝いた「オートキュイジーヌの26」
銅賞は「エアジュプロンサの26」(父サマーバード、母エアジュプロンサ、母の父ハーツクライ、牡鹿毛)で、生産者は稲原牧場、飼養管理者は二風谷軽種馬共同育成センター。
銅賞に輝いた「エアジュプロンサの26」
なお、銀賞のオートキュイジーヌ以外の3頭は来る7月21日に新ひだか町静内の北海道市場で開催される「セレクションセール」に上場される予定である。どんな結果が出るか注目したいと思う。
こうした行事はかつて日高各町で行われていたが、前述したように今は三石と平取のみになってしまったのは何とも残念なことだ。ぜひ浦河や荻伏、静内、新冠、門別(生産振興会は未だにこの呼称である)の各振興会でも復活して頂きたい行事である。
田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。