2015年07月28日(火) 18:01
▲厳しい環境の中で若手騎手が突き抜けるためには…、先輩福永からのアドバイス
最近、このコラム宛に、「若手騎手が浮上するためには、どうすればいいと思うか」といったリクエストが多いという。現在の若手を取り巻く環境を思うと、周囲のバックアップのおかげで恵まれたスタートを切ることができた自分としては、“時代の変化”を痛感するわけだが、そうはいってもこの世界は自分が資本。なかには(川田)将雅のように、ひとりで這い上がっていくるヤツもいる。
自分がデビューした頃は、外国人ジョッキーはもちろん、地方ジョッキーすらまだ乗りに来ていなかった時代。それがいまや、外国人ジョッキーの通年免許制度が認められるまでになったのだから、時代は変わるものだ。地方、海外のトップがJRAジョッキーとなり、短期免許で乗りにくるジョッキーもハイレベル。そのなかで若手がチャンスをつかみ、なおかつ結果を出して這い上がってくるのは、確かに相当難しくなっている。
さらに、エージェント制が認められたことで、騎乗依頼の流れも変わった。当然、エージェントの人脈や力量も問われるわけだが、若手に最高のエージェントがついたからといって、すぐにリーディング上位を狙えるかといえば、さにあらず。どんなにエージェントが優秀でも、そのジョッキー本人に技量がなければ、リーディング上位に名を連ねることはできない。
“技術”という一面でいえば、最近の若手は巧い子が多いと思う。少なくとも、自分が若手だったころに比べれば、みんなはるかに優秀だ。松若風馬、小崎綾也、加藤祥太、鮫島克駿などなど、このなかから誰が伸びてきてもおかしくない。もちろん、“競馬”はまだ下手だ。でも、乗っている格好や追い方は、自分から見てもカッコいいと思うし、デビュー1、2年目でこれだけ乗れたら十分やなぁなんて思いながら見ている。
▲小崎綾也騎手(左)と松若風馬騎手(右)
ただひとつ、「いかにカッコよく乗るか、キレイに乗るか」ということを、巧拙の判断材料としている節がある。・・・
福永祐一
1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。