短距離路線の充実

2016年03月04日(金) 18:00 22


◆SSS、時期的なことは再検討されても

 前回のこのコラムでは、2016年度の岩手のグレード制導入とホッカイドウ競馬の3歳三冠ボーナスについて取り上げた。その中でも触れたとおり、岩手の重賞は昨年度までの開催時期や賞金額にほとんど変更がないままグレードが設定されたわけだが、ひとつ微妙に変更があったのは、6月上旬に行われている早池峰(はやちね)賞が、時期はそのまま『早池峰スーパースプリント』と名称が変更となり(今年は6月5日)、回次も第1回にリセットされたこと。そして距離も1200mから1000mに短縮、1着賞金も昨年までの150万円から250万円に増額され、岩手グレードではM2に格付けされた。

 まだ正式な発表はないが、どうやらこの早池峰スーパースプリントは、スーパースプリントシリーズ(SSS)に組み込まれるようだ。レース名がズバリそのものだし、シリーズの条件である「1000m以下のワンターン」というのも当てはまる。また南関東からリリースされた重賞一覧でも、船橋・習志野きらっとスプリント(7月20日)の「優先して出走できる馬」に、「早池峰スーパースプリント1着馬」と明記されていたので間違いないだろう。

 昨年6月5日付のこのコラムではSSSについて取り上げ、「トライアルが全国で4レースしか行われないのは少ない」「岩手所属馬はトライアルを使おうと思えば門別(グランシャリオ門別スプリント)まで遠征しなければならず、実際にこれまで1頭も遠征がない」というようなことを書いたが、それが大きく改善されたことになる。

 あとは、SSSの初期には荒尾でトライアル(九州むしゃんよかスプリント)が行われていたように、佐賀にトライアルを設定できないだろうか。佐賀で1000m以下のコース設定は900m戦だが、現在、2歳戦以外ではC2級のレースが組まれているのみ。900mで上級クラスのレースをするには何か問題があるのだろうか。

 SSSが始まったのは2011年だが、当初は1000m以下に限られるという特異なレース設定に懐疑的な声も少なくなかったが、時を経てかなり定着してきたように思われる。図らずも笠松のラブミーチャンが第1回からファイナルの習志野きらっとスプリントを3連覇したという効果は大きかったように思う。

 あとひとつ、SSSで見なおしたほうがいいと思うのは、時期的なこと。ただこれは全国的な連携が必要なので、相当に無理があることは承知の上でなのだが。

 ファイナルの習志野きらっとスプリントが行われる7月後半の船橋といえば、梅雨が明けたばかりで、さらに海沿いということもあり、とにかく蒸し暑い。このシリーズを何度か取材してきて、北海道のグランシャリオ門別スプリントを勝った調教師に「ファイナルの船橋は?」と聞いても、「暑いから使うつもりはない」という返事を何度か聞いた。過去5回で北海道所属馬のファイナル出走は、2014年のアウヤンテプイ(4着)しかいない。3連覇したラブミーチャンも、2回目、3回目は、クーラーを持ってくるなど暑さ対策で相当気を使っていた。ラブミーチャンほどの活躍馬で、しかも遠征慣れしていればこそできたことだろう。また昨年4着だった高知のサクラシャイニーも夏負けしていたと聞いた。

 全国で行われるトライアルから、ファイナルにメンバーを集めるということでは、時期的なことは再検討されていいと思う。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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