2016年10月14日(金) 18:01
▲2012年秋華賞のゴール前、ヴィルシーナ(左)とジェンティルドンナ(右)の白熱の戦い (C)netkeiba.com
今年から重賞に格上げされた秋華賞トライアル・紫苑S(GIII、中山・芝2000m)。直線でビッシュが抜け出したところ、3コーナーの不利で急減速していたヴィブロスが外からものすごい末脚で追い込んできた。今春、チューリップ賞とフラワーカップではともに12着だった馬が、半年で大きな成長をとげ、牝馬三冠最終戦・秋華賞への優先出走権を手にした。牝馬三冠すべてで2着だった姉・ヴィルシーナの無念を晴らすべく、シンハライト回避で混戦模様の秋華賞に挑む。(取材・文:大恵陽子)
悔しさと嬉しさの入り混じる紫苑Sだった。
「3コーナーの出来事がなければ、もう少し際どい勝負だったかなと思います」
前哨戦を友道康夫調教師はそう振り返った。
中団からレースを進めていたヴィブロスは、3コーナーで進路が狭くなり下がってきた馬のあおりを受けて急減速せざるを得なかった。3歳牝馬なら怯んでしまいそうなアクシデント。福永祐一騎手も「落馬するかと思った」と話すほどだったが、無事を確認し追い出されると、直線で鋭い末脚を繰り出し2着に食い込んだ。
この姿は、ヴィブロスが大きく成長した証だった。
「初めてヴィブロスの勝負根性を見ました。春までは女の子って感じで、最後まで真剣に走っているのかな? と、着順を見ながら思うこともありました。でも紫苑Sでの盛り返しは、精神力で走るタイプだった姉のヴィルシーナの勝負根性を宿しているな、と改めて発見しました」(友道師)
▲ヴィブロスと友道師「紫苑Sで初めての勝負根性を見ました」 (撮影:大恵陽子)
全姉・ヴィルシーナは並んだら抜かさせない勝負根性を武器に、先日顕彰馬に選定されたジェンティルドンナと牝馬三冠レースでしのぎを削り、すべてで2着。逃げ・先行タイプの姉とは対照的に、控える競馬で結果を出したヴィブロスだが、最後まで勝負に食らいつく闘志は姉妹の血に共通して流れていた。
ヴィブロスがデビューしたのは、昨年10月。好スタートを生かし、2番手からレースを進め2着。初勝利を挙げた2戦目も2番手からのレースだった。その後、チューリップ賞、フラワーCと重賞ではともに12着だったことから心身のリフレッシュを兼ねて休養に入った。
休養から帰ってくると一回り大きく成長し、GI・ヴィクトリアMを連覇した姉に近づいていた。
「馬体重はそんなに増えてはいないんですが、背が伸びて体幹もしっかりして動きが良くなりました。毛色だけじゃなくシルエットとか、ヴィルシーナによく似てきたなって思いましたね」
迎えた休養明け初戦、中京・3歳以上500万下レース(7/24、芝2000m)。好スタートを決めるもスッと中団に控え、直線で外から追い込んで勝利した。
実はデビュー前、友道師はヴィブロスの持ち味をこう分析していた。・・・
netkeiba特派員
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