2016年12月13日(火) 18:00 19
競馬界のサラブレッド池添学調教師にお話をお聞きしました!
初めに、香港シャティン競馬場に、史上最多の13頭の日本馬が出走。
メインの香港C(GI・芝2000m)ではアジアの帝王「モーリス号」がエイシンヒカリを追いかけ見事にゴール前で捉え引退の花道を飾りました。抜け出す瞬間のスピードは半端じゃなかったですよね。2頭同時入線してくれーと思わず叫んでいました。
モーリスが1歳の時は150万円のウマだったそうですが、10億円の賞金を稼ぎ、最後にして最高の演出で締めくくった。今年の流行語で「神ってる」がモーリスにぴったりですよね。
僕のいとこ(従姉)が香港に在住していて「勝ちゃんの代わりにシャティン競馬場で日本馬応援してるよ!馬券でおこづかいももらったわ。日本競馬ってすごいよね。香港馬より日本馬のほうが人気出てるよ。日本人もたくさん住んでるからね。杏奈(娘)も興奮しっぱなし。今日の夕飯は、北京ダックやなー」と興奮したメールをくれました。あの瞬間見たかったな。
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新調教師7人が誕生。全員が30代という若さで競馬界も世代交代になりつつありますね。
ちょうど僕と同時期に競馬で競ってた幸四郎・武英に翔伍助手などなじみの多い方たちなので活躍が楽しみです。取材もさせていただきたいと思います。どんな話が出るのか楽しみです。皆さん待っててくださいね。
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やっぱり神ってるなー!
26年度に調教師試験に合格されてからの活躍ぶりが注目を集めている池添学厩舎にお邪魔しました。
厩舎へ入っていくと馬体チェックをされていました。今日の追切後の馬体検査、何かトラブルでもあったのかとみていると、次々に馬が馬房から出てきてチェックされていました。
常石 今日は取材よろしくお願いします。追切後にトラブルがあったんですか?
学調教師 いえいえ。いつも追切後やレース後は、馬体チェックとケアをしっかりしています。何か異常があったとき素早く気づくことができるから大事なことですね。大切な馬を馬主さんから預かってるので早期発見です。馬にも負担をかけない様に気遣ってます。ファンにも迷惑かけてしまうことにつながるでしょう。
常石 すごい配慮ですね。一緒におられた方は?
学調教師 ノーザンファームしがらき牧場の方です。牧場の方と担当助手や厩務員など一人でも多くの目で確かめています。
ノーザンファームしがらき牧場の方や馬主さんなどと毎週馬の状態をチェック
常石 脚の関節などを触って丁寧に確認していましたね。いろんな厩舎へ訪問させていただいてますが初めて見ました。
学調教師 皆さんされていると思いますよ。やり方は違うと思うけど。
常石 もう一つ、洗い場に馬をつなぐときリングに直接ロープを馬くくりするのではなく縄をリングにして縄にロープをくくっていますよね。どうしてですか?
洗い場で馬くくりしているロープの先に縄でつなぐ学厩舎独自のやり方
学調教師 馬が何らかのトラブルで立ち上がったときなど馬のけがを防ぐためです。特に口など怪我のないように工夫しています。
常石 いろいろ細かいところにまで気を遣っているんですね。
学調教師 大切な馬を預かってるんですからね。何気ないところまで気を遣わないといけないと思っています。
何気ないところまで気を遣わないといけないと思っています
常石 先生の心遣いはすごいなー。謙一(池添騎手)の弟でしょう。まだ30代ですよね。兼雄先生と親子2代というか、それぞれ活躍されすごい一族ですよね。騎手志願はなかったですか?
学調教師 兄が騎手になり当然僕も志願していましたが、身長も体重もオーバーだったのであきらめ、調教師を目指そうと決め、乗馬クラブに通い大学へ進み大学でも乗馬をしていました。
常石 明治大学って学力も高いですが、乗馬でも活躍されていたんですよね。
学調教師 まー、いろんなことを学びましたね。
常石 名前どおりですね(笑)。酒井学騎手がいるけどやっぱり弟みたいな感じやと謙君よくいってました。
学調教師 名前プレッシャーですね。(爆笑)
常石 いえいえ、有言実行です。尊敬します。
学調教師 2006年から父の厩舎で厩務員になり、2014年に調教師に合格して開業することができ、勉強することばかりです。
常石 その間に角居厩舎やノーザンファームでも勉強されたそうですね。
学調教師 それぞれの立場で見ていかないと漏れることがあると思っています。大学中に馬術部で教わったことは軽い屈曲をさせることが大事。それによって大きな事故が防げると思う。朝と昼からも必ずチェックしています。
ノーザンファームの方や吉田勝己氏と連携を取りながら今後の予定も決めています。牧場にいるときと厩舎へ来てから様子が変わることが多いので連携は大事ですね。競走馬は、気性が激しかったり急に様子が変わったりするので人馬の距離を大切にしています。
スタッフみんなで取り組むことが一番ですね。僕一人では何もできませんからみんなを頼りにしています。その中でいいリーダーシップを取れるように頑張りたいです。
常石 頼もしい馬もたくさん入厩されていますね。今年の競馬も残りわずかですが12月は、新馬のズアーが勝って、中山のラピスラズリSでメラグラーナ、阪神でエルフィンコーブも勝ち一気に3勝をあげ勢いはすごいですね。
GIの朝日杯フューチュリティステークスに出走予定のボンセルヴィーソも楽しみな1頭でしょう。
学調教師 一週前追切は3頭併せで先頭を切り、終い重点で動いたので気持ちも乗ってきたでしょう。11月のデイリー杯は悔しい思いをしているので踏ん張ってほしいですね。無事にここまでこれたのが何よりです。頑張ります。
常石 期待馬がいっぱいなので楽しみにしています。最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
学調教師 僕たちが育てた馬で兄『謙一』に勝ってもらえたらうれしいですね。兄弟タッグをがっちり固めていきます。大事な馬に一つでも多くの勝ち鞍を持たせていきたいですね。まだまだ新米ですが応援してください。
常石 ありがとうございました。
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とっても気さくな先生でしたがその中からしっかり闘志もみなぎる若きエースだと感じました。ブエナビスタの仔コロナシオンをはじめ期待馬がモリモリの池添学厩舎への期待が高まっていきそうです。朝日杯・有馬記念をファンのみんなで笑いましょう。神ってくださいね。
つねかつこと常石勝義でした。
常石勝義
常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30~)に出演中。