2017年03月28日(火) 18:00 20
松下調教師と並んでパチリ
先週末のドバイワールドカップデーには過去最高となる10頭の日本調教馬が参戦。深夜の生放送でしたが日本でも馬券が買えるようになり盛り上がりましたよね。みなさんは海外馬券を購入されましたか?
その中でもドバイターフでは昨年に続いて日本馬が優勝、「ヴィブロス」やってくれました。ゴール手前では、「もうちょっと頑張れ、行け!」とかごっつい顔して声援を送っていました。友道厩舎と大魔神オーナーとのコンビは、相性がいいようですね。関係者の皆さんおめでとうございます。
ディープインパクト産駒がまた大快挙をやってくれましたがディープが外国で勝てなかった悔しさがよみがえってきますね。豊騎手が今でも勝たせてあげられなかった悔しさが残っていると言い、世界最高の馬だったといまだに絶賛しているディープインパクト。日本馬が世界で活躍し競馬がもっと面白くなってきますね。
日本でもGI・高松宮記念が行われました。幸先輩やりましたね、おめでとうございます。幸先輩はセイウンコウセイに初騎乗、セイウンコウセイ自身は初GI制覇、そしてアドマイヤムーン産駒初GI制覇と初だらけですね。最後の直線が長い中、馬場のど真ん中を突き抜けてきたときは、とってもカッコよかったです。
2着に敗れたとはいえレッツゴードンキも最内をつきメンバー最速の上り33.9秒の末脚で追い込んできました。よく伸びて完全復活ですね。同期の柴田未崎騎手が最終追い切りに騎乗していたので応援に力が入りました(笑)
さて本題に入りましょう。先日行われたフィリーズレビューではカラクレナイが優勝。ミルコ・デムーロ騎手の絶妙な手綱さばきで外から豪快に差し切り桜花賞の切符を手にしました。開業3年目の松下武士調教師は、オースミムーンで障害重賞2勝していますが、平地重賞は今回が初勝利でした。
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常石:カラクレナイ、フィリーズレビュー優勝おめでとうございます。
松下:ありがとうございます。強い馬ですね。
常石:カラクレナイの魅力は、どんなところですか?
松下:前走でもメンバー最速の上りを出してくれたように最後の末脚ですね。武器でもある末脚をうまく引き出してくれた絶好調のミルコ・デムーロの手腕にも助けられましたね。メインの連続優勝を僕の馬で止めたらどうしようと思っていましたのでうれしかったです(笑)
常石:絶妙な手綱さばきをするすごい騎手ですよね。信頼度何パーセントですか?
松下:そりゃー100パーセントでしょう(笑)
常石:そうですよね。僕も騎手だった頃、信頼度100%をいただいたことあったかな? あいつで大丈夫かな? といつも思われていたように思います(爆笑)
松下:そんなことなかったでしょう。騎手に騎乗依頼した時点で信頼していますよ。僕たちがつくった馬を託すんですからね。結果はその後でついてくるものですから。
常石:そうですよね。そういえば桜花賞本番ではデムーロ騎手がカラクレナイに乗れないんですよね。
松下:先に騎乗依頼があるので残念ですが乗り替わりです。桜花賞は田辺騎手に決まっています。あの馬は誰が乗ってもいい脚を使ってくれると思いますので、田辺騎手の手腕に期待しています。
常石:入厩してきたときは、どんな感じでしたか?
厩舎でリラックスするカラクレナイ
松下:調教助手は河北さんと服部さんなのですが、2人ともベテランなので調教が上手いですよね。入ってきたときから『この馬動くね!』と絶賛していました。ゲート試験合格後、放牧に出し帰厩してからぐんと成長を感じましたね。特に精神面での成長は大きかったです。
見た感じの馬体の変化はわかりにくいですが馬体に幅が出てきました。ボリュームが出て走りがパワーアップしてきました。
常石:馬体の幅が出ると、安定した走りをしてくれますよね。後ろ足の踏み込みが強いと思いました。
松下:大事なところですね。
常石:さっき大仲で待たせていただいてた時、河北助手が全馬の様子をノートにまとめておられる姿を見て、全馬をきっちりと把握して調教をこなしている様子がよくわかりました。レースで何が必要かよくわかっているので調教でも生かせるんだと思います。
河北先輩は競馬学校7期生で同期に四位騎手や藤田元騎手などがおり、自分で馬を作る職人のような先輩です。心強いですね。
松下:ありがたいです。助手だけではなく厩務員もすごいですよ。担当馬は、公平にみんなで話し合って決めています。うちの厩舎は火曜日の午後は休日にしています。今はまだ開業間もないので全員ではありませんが交代して休暇を取っています。
常石:それは家族にとってうれしい休暇ですね。
松下:みんなが幸せになるように! 家族が幸せになると気持ちよく働けますからね。そんな運営方法は矢作厩舎で学びました。矢作先生は、いつもみんなが幸せになるようにと口癖のように言っています。働きやすく楽しんで仕事ができ、どんな馬が入ってくるかと期待し、楽しみを持って働けるような厩舎にしたいと思っています。まだまだですが矢作先生からは多くのことを学びました。清水久詞先生からも学ぶところが大きかったです。
常石:僕が松下厩舎に興味を持ったのは、昨年秋に、シュタルケ騎手を取材させていただいたとき『あの馬はすわりがいい!』とディーパワンサを絶賛していました。騎手にとってすわりがいいのは一番の魅力ですからね。まだまだよくなるといっていました。
阪神JFでは4着と好成績を残していますし、ディープブリランテの仔ですから血統もいいですね。今後の活躍が楽しみです。
そして厩舎服も大好きだったんです。思わず先生に「厩舎服ください」とお願いし、快くプレゼントしてくださってめちゃ嬉しかったです。あつかましいお願いしたなーと恥ずかしくなります。ピンクが大好きなんです。現役の時騎乗していたビッグテーストもピンクの勝負服でしたから思い入れがあるんです。今は障害者乗馬をしているんですが、左に麻痺があるため体が右に落ちて行ってしまうので、松下厩舎服は中央にピンクのラインがあり中央がよくわかるので体のずれがわかりやすいんです。助かってます。本当にありがとうございます。
桜花賞にはピンクが、そしてカラクレナイにはピンクがよく似合いますよね(笑)。これで応援にいきますよー!(爆笑)
松下:それは役に立っているんやね。よかったです。応援の時も着てきてくださいね(笑)。もっとピンクグッズをもらってもらえるよう頑張ります。
常石:たのしみやなー。松下厩舎スタッフのつもりで行きます(爆笑)
松下:桜花賞の舞台に立てることはうれしいですが一つの登竜門として馬をどんどん回転させ、一つでも多くのレースに出られるように可能性を見つけていきたいです。もう20馬房いただきましたから出走数も増えてきます。回転しながらもガス抜きをしっかりすることで馬を長い間走らせることができるように大事にしていきたいです。
松下調教師「馬を長い間走らせることができるように大事にしていきたいです」(写真は松下厩舎の調教風景)
常石:レースの時は、絶対に守ってることがあるそうですね。
松下:勝負服は、必ず厩務員が持っていくようにしています。預けていただいている馬主さんの勝負服ですからね。そうすることで間違いがないので馬と一体です。これも管理する側の責任です。勝負服を間違えると馬主さんに迷惑かかりますからね。自分の勝負服を着て戦ってもらいたいでしょう。
常石:細かいところまで行き届いた指導をされているんですね。
松下:馬を競馬に使うんだから当然でしょう。馬主さんに信頼されて、安心して預けたい! と思ってもらえるような厩舎にしたいと思います。清水・矢作両厩舎で勉強できたことは大きな財産です。働き甲斐があるといわれるような厩舎を運営して、スタッフみんなで盛り上げていきたいと思います。そしてファンの皆さんに応援してもらえるような馬を走らせたいです。よろしくお願いします。
松下調教師「ファンの皆さんに応援してもらえるような馬を走らせたいです」
常石:今日はお忙しい時間にありがとうございました。最後に清水先生からメッセージをもらってきましたよ。
松下:こわいなー!(笑)
常石:矢作先生にもお聞きしようと思っていましたがドバイへ行かれていたのでまた次回に聞いてきます(笑)
清水先生曰く『調教師になるためにこの世界にいるような人やで。真面目やし馬のことと一緒に人のこともしっかり考えてるからな。今後の活躍を楽しみにしています』と期待されていました。
松下:キタサンブラックなどすごい馬を出してる先生やリーティングをとってる先生の指導を受けることが出来て幸せ者です。しっかり受け継いでいきたいと思っています。今日はありがとうございました。
常石:こちらこそありがとうございました。
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松下厩舎は若いスタッフが多く、和気あいあいと活気にあふれていました。先生の人の好さが出るにこやかさでスタッフとの対応に心が緩みました。ずっと大仲に居座っていたかったです。おじゃましました。
つねかつこと常石勝義でした。
常石勝義
常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30~)に出演中。