2017年11月29日(水) 18:01 31
▲クラブを立ち上げたタバートさん、馬にとっての理想を追求する中で生じた葛藤とは?
これまで個人馬主として活動してきたタバートさんですが、この度、オーナーズと一口クラブを立ち上げました。新規のクラブで記憶に新しいのが「DMMバヌーシー」。そのコンセプトが「感動の共有」なら、タバートさんのクラブは真逆の「本格馬主体験」。クラブを立ち上げるきっかけは、「個人馬主の限界」だと言います。知られざる馬主の世界の実情、タバートさんの胸の内を語ります。(取材・構成:不破由妃子)
(前回のつづき)
佑介 一般の競馬ファンが出資できるクラブ法人に先駆けて、まずは個人の馬主さんを対象とした「ニューワールドレーシング・オーナーズ」(1頭10口)を立ち上げられたんですよね?
タバート うん。オーナーズのほうは、すでに馬主の資格を持った方たちが馬を共有するシステムなので、割と簡単にスタートすることができた。でも、クラブのほうは、いろいろな手続きや審査があって、今はようやく金融庁に受理されて、開始日の連絡を待っている状態なんだけどね。
佑介 オーナーズもクラブも存在自体は珍しいものではないけれど、既存のクラブを買い取ったわけではなく、まったく新しいコンセプトをもとにゼロから立ち上げるわけですからね。この夏、話題になった『DMMバヌーシー』もそうですが、やっぱり僕らも興味がありますよ。実際、サークル内でもよく話題に上りますから。構想は追々うかがっていきますが、コンセプト的には、ある意味DMMとは真逆のスタンスですよね。
タバート そうだね。あちらが最大10000分1のところ、僕のほうは40分の1だから。気持ちとしては、誰もが参加できるようにしたいけど、できるだけ馬主としての経験を味わってほしいというのがひとつのコンセプトでもあるので、やっぱり口数は絞ったほうがいいかなって。だから、DMMさんとは全然路線が違う。そこがまた面白いんだけどね。
佑介 DMMのコンセプトが「感動の共有」なら、マイケルのほうは「本格馬主体験」ですものね。ここまで方向性が違うと、見ている側もわかりやすいし、比較しやすい。そもそも、クラブを設立するきっかけとなったのは、個人馬主の限界を感じたからだとおっしゃっていましたが、具体的にはどんなことですか?
▲佑介「感動の共有と本格馬主体験。ここまで方向性が違うと、見ている側もわかりやすいし、比較しやすい」
タバート たとえば、僕が佑介に騎乗依頼をしたとして、同時に所有馬が数多くいる大馬主やグループからも騎乗依頼があったとする。そうなったときに、僕が佑介だったら100%向こうからの騎乗依頼を受けるからね。それは誰が悪いとかそういう話ではなくて、当たり前のことだから。それをもっと拡大していくと、厩舎もそうだし、育成もそう。・・・
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。