2017年12月19日(火) 18:00 26
◆中央競馬の平日開催が増えていることへの対策?
少し前になるが、南関東の2018年度の開催日程と重賞日程が発表された。来年度はいくつか大きな変化がある。
まず目についたのは、昼間とナイターで1日2場開催が10日間もあること。今年度は5月の連休中に昼・船橋→夜・大井という開催が2日間あっただけ。
馬券売上のほとんどが場内だった90年代、書き入れ時の年末開催には、昼間の2場同時開催をやっていた時期があった。当時は発走時刻を10~15分ほどずつずらして相互発売をしていたようだが、さすがにそれも2001年を最後にやらなくなっていた。
今や地方競馬でもネット(電話)投票が売上全体の70%近くを占めるようになって、ナイター開催の競馬場も増え、ナイター開催の期間も延長されるようになってきた。南関東ではナイター後発の船橋が来年度から通年ナイターを打ち出した。今年は昼間開催だった5月の連休も来年はナイター開催となり、そのうち2日間は、今年とは逆に昼間の大井と2場開催となっている。ただこのあたりは競馬場同士で1年おきに昼・夜を交互にという取引はあるのかもしれない。
たしかにナイター開催は昼間開催より売上が増えているようだが、だからといってナイターばかりになってしまうのはどうなのだろう。船橋競馬場は海が近いだけに冬の夜に風でも吹けばなお冷える。競馬場に来ている人で、船橋の通年ナイターを歓迎という声はあまり聞かない。
南関東の2場開催が増えるのは、中央競馬で3日間開催や平日開催がじわじわと増えていることへの対策ということはあるのだろう。
たとえば来年、9月15(土)・16(日)・17(月)の中央3日間開催の翌週、25(水)・26(木)には浦和・大井の2場開催がある。来年も実施される12月28日(金)の中山・阪神開催では年末の大井開催が途切れてしまうために、その直前、26(水)・27(木)が、やはり浦和・大井の2場開催となっている。
1日2場開催では、単に開催のべ日数を増やすというだけではないメリットも考えられる。中央競馬では以前から若手騎手の騎乗機会が少なくなっていることが問題となっているが、中央ほどではないにしても、南関東も同じような状況にはある。期間限定騎乗や重賞のピンポイント騎乗で、ほぼ絶え間なく他地区からトップジョッキーが乗りに来られるようになったからだ。その点2場開催であれば、昼・夜のリレー開催であっても1人の騎手が同日に開催場を移動しての騎乗はできないため、騎手が分散することになる。
そしてもうひとつ、夏の過酷な連続開催も緩和されることになるかもしれない。今年の夏、南関東では、7月23日~8月4日に連続13日間開催があり、1日置いて8月6~18日にさらに13日間の連続開催があった。この連続開催では、トップジョッキーから「しんどい」という話も聞いていた。それが来年、週末も休みなしの連続開催は、8月6~17日の12日間連続開催だけになっている。そのぶんなのか、因果関係は不明ながら8月3日に浦和・大井の同日開催が設定されている。
さらに、優駿スプリントと帝王賞の開催日を含む、6月26(火)・27(水)・28(木)の3日間も浦和・大井の2場開催となっている。ナイターの単独開催よりも、昼間からのリレー開催となればそれだけ馬券発売時間が長くなり、必然的に馬券の売上げ増が期待できる。
いつ、どのような時間帯に、どのような状況で開催を設定すれば馬券が売れるのかというのは時代の状況とともに変化する。南関東が1日2場の同時開催をやっていたのは、売上げのほとんどを場内での発売が占めていた時代のこと。先にも触れたように、馬券の売上げの7割近くがネット投票となった今となっては、どこで開催をやっていようがあまり関係ない。南関東の昼・夜リレー開催なら1日20レースほども楽しめる。そういう意味で、南関東の1日2場開催は今後さらに増えていくのではないだろうか。
最後にもうひとつ、2018年度の南関東で変わるのは、3つの準重賞が重賞に格上げされたこと。4月のブリリアントC(大井)は大井記念の、7月(もしくは8月)のプラチナC(浦和)はオーバルスプリントの、2月の雲取賞(大井)は京浜盃やその先の羽田盃の、それぞれ前哨戦としてもこれまでも機能していた。それが重賞に格上げとなれば、レース体系としてはわかりやすい。
斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。