2018年05月05日(土) 12:00
◆“チカテツ”はかなりインパクトがありました
今週も前回に引き続いて、拙著「競馬と鉄道」ユーザープレゼントへのご応募の際に書き添えていただいたご質問にお答えします。とはいえ、お答えするのは1つのご質問だけ。それは「鉄道に関する馬名にはどんなものがあったか?」というものです。
実は、これにはハッとさせられてしまいました。本に書かなかったことなので。でも、確かにそれも“競馬と鉄道ネタ”ですよね。ご質問をいただいた方は、「もし本に取り上げられていなかったら、続編に期待します」と付け加えてくださいましたが、いつそれを書けるかがわからないので、ここでお答えすることにします。
私が真っ先に思い付いた馬名は、チカテツ、コダマ、キーストン、アローエクスプレスです。
チカテツは2000〜02年に金沢に所属、01年にMRO金賞を勝って神戸新聞杯に挑戦(12頭立ての12着)した馬です。この馬名は鉄道好きの私にはかなりインパクトがありました。
コダマは、私が生まれた1960年の皐月賞、ダービーを制した名馬。58年に東海道本線の東京-大阪間で走り始めた電車特急の愛称が由来となっています。
キーストンは1965年のダービー馬。というより、翌年の阪神大賞典で左前脚を故障、3本脚になりながらも、落馬したパートナーの山本正司騎手の元へ歩み寄った(もちろん、予後不良で安楽死となった)ことで有名な“悲劇の名馬”です。馬名は、アメリカ東海岸を走る特急列車の愛称から名付けられました。
ご存知の方も多いと思いますが、コダマもキーストンも、伊藤由五郎氏の持ち馬。この方は当時の有力馬主の1人で、大の鉄道ファンだったと伝えられています。
アローエクスプレスは、1969〜71年に活躍した馬。タニノムーティエとの“AT対決”は当時の競馬界を大いに盛り上げました。馬名の由来は定かではありませんが、おそらく、かつてロンドン-パリ間を結んでいた花形特急列車・ゴールデンアロー号にちなんでいるはず。「矢のように速い特急」という意味の名前ですからね。
そのほかにも、記憶をたどったり、日本軽種馬協会の「JBISサーチ」やアホヌラさんが主宰する「優駿達の蹄跡」で検索したりすると、いろいろ出てきましたよ。最近の馬では、デンシャミチ(なんと、2005年の京王杯2歳Sに優勝!)やエキマエ(2014年の兵庫チャンピオンシップの勝ち馬)が好例。ほかに、本当に鉄道を由来にしているかどうかはわかりませんが、ケイセイ、メイテツ、キンテツ、ナンカイという馬もいました。
では、最後に問題。今、各地で走っている新幹線列車の中で、これまで馬名として登録されたことがない(JBISサーチでも優駿達の蹄跡でも出てこない)愛称は何でしょう?
その答えは…、いや、ここで書いたらおもしろくないので、来週ご披露しま〜す!
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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