2019年06月24日(月) 18:02 32
6月26日に大井競馬場で行われる帝王賞は、今年も豪華メンバーが中央&地方から集まりました。今回のリスタートでは私が主戦場にしている南関勢の話題をお届けします。
南関東生え抜きからこういう馬が出てきてくれた!と夢いっぱいなのが、モジアナフレイバー(大井・福永敏厩舎<小林>)です。ポテンシャルの高さは随所に表してきましたが、昨年のクラシックは惜しくも無冠。その後、古馬との初挑戦だった勝島王冠は、斤量差も味方につけて優勝し、念願の重賞タイトルを手にしました。
そして、みんなを驚かせたのが前走の大井記念です。放牧休養明けでしたが、疲れが抜けきらず調子が上がってくるのに時間がかかったため、当初使う予定だったブリリアントカップは自重し、約5か月の間隔が空いた中での実戦。
主戦の繁田健一騎手を背に、道中は中団内から進め、4コーナーで3番手の外に持ち出すと一気に伸びて、後続に3馬身半差をつける快勝。勝ちタイムは2000m2分5秒0(重)。
サウンドトゥルーやリッカルド、センチュリオン、ヒガシウィルウィン、タービランスという強豪たちを一蹴。休み明けはもちろん、斤量差もない中で、モジアナ強い!という言葉しか出てきませんでした。
「ゲートに課題のある馬ですが、今日はうまくスタートも切れて、好きな位置を取れました。道中もすごい手応えだったので、これなら大丈夫かなと。今日は自分自身では何もしていなくて、モジアナが勝負所をわかっているかのように勝手に走っている感じで、この手応えはホントすごかったです」(繁田騎手)
その後は反動も心配されましたが、大きなダメージもなかったことから、この帝王賞へ。「いい意味で変わっていませんよ」と、調教とお世話をつきっきりで行っている荒美厩務員(益田競馬場の元騎手)。福永調教師も繁田騎手も荒美厩務員に全幅の信頼を置いています。
「普段は『え?これで走るの?』ってそんなに派手なところはありませんが、速いところを走らせると、その加速力というか瞬発力がすごいですね」(荒美厩務員)。競馬では闘争心たっぷりの迫力あふれる走りを見せていますが、普段はとても大人しくてかわいい馬です。
馬房でのんびりと外を眺めているモジアナフレイバー
そんなモジアナフレイバーの曾祖母はパテントリークリア。そう、NHKマイルカップ初代チャンピオンのタイキフォーチュンの母なのです。個人的にも、タイキフォーチュンがきっかけでこの世界に入っているだけに、またこういう形でタイキフォーチュンの名前がクローズアップされるのはうれしいです。あれから、もう23年が経つのですねぇ……。
「ゲートに課題はある馬ですが、最近はモジアナなりの成長は見せてくれていますね。ちゃんと出てくれれば、ポジションを取れるスピードはあります。相手は強いですが、東京大賞典(9着)の時よりも通用する姿を見せたいです。チャレンジしなければ始まらないことですし、こうやって注目して頂けるというのはとても光栄なことです」(福永敏調教師)
そして、リスタート組からも楽しみな面々が出走してきますね。
ノンコノユメ(美浦・加藤征弘厩舎→大井・荒山勝徳厩舎<小林>)が南関東移籍初戦を迎えます。
5月10日に荒山厩舎へやって来て、6月7日には大井競馬場で調教試験を受けたことまではお伝えしました。(参考記事はこちら)調教試験に騎乗し、レースでもコンビを組む真島大輔騎手は、JBCレディスクラシックなどを制した女傑ララベルでもお馴染みでしたが、現在ノンコノユメを担当している横山厩務員と調教パートナーの青柳厩務員も、ララベルを手掛けてきたコンビです。
「(ノンコノユメは)牡馬の中では小柄な馬ですが、力がグッと入った時の威圧感はすごいです。筋肉も柔らかくて馬も若々しいですね。調教試験の後、さらにピリッとしてきた感じです。カイバは食べているので、身になってくれればいいのですが……」(横山厩務員)
「柔らかさと力強さを兼ね備えていて、トモから背中、き甲、首、うなじ、ハミへと、力が無駄なくきれいに流れていく感じです。普通の馬は走り方を導いてあげるのですが、ノンコは何もしなくても自分で全身を使って走っているので、その邪魔をしないように気をつけています」(青柳厩務員)
あ、ちなみにノンコノユメのレースでの馬装が気になっているファンの方も多いと思いますが、先日伺った時には荒山厩舎の青メンコを着用するということでしたよ。赤から青にイメチェン予定です。
「ここまで順調に調整はできていますが、移籍初戦なのでやってみないとわからないというのが正直なところです。体重維持が難しいタイプで、できれば減らしたくはないですね。今後に向けてもいい走りをして欲しいです」(荒山調教師)
ひと仕事を終えて、入浴中のノンコノユメ
サウンドトゥルー(美浦・高木登厩舎→船橋・佐藤裕太厩舎)とリッカルド(美浦・黒岩陽一厩舎→船橋・佐藤裕太厩舎)については、
「(サウンドトゥルーは)調子自体は悪くありません。最近はレースの流れに乗り切れていないところがあるように感じています。中央馬が入ってペースも上がると思いますが、ドンと構えて自分のリズムで走らせたいです。今回は終いに徹する競馬で、自分の形で走らせたいです。
洗い場で佇みながら、遠くを見つめていたサウンドトゥルー
(リッカルドは)前回は休み明けで2000mも長い中で、見せ場を作ってまだやれるところは見せてくれました。一度使ったことで、心臓面での重さが解消されてきたと思います。ただ、2000mは絶好調でもちょっと長いイメージはあるのですが、状態も上がってきているので何とか踏ん張って欲しいです」(佐藤調教師)
朝の調教時に馬場へ向かっていくリッカルド。かわいい装いです
次回は7月8日(月)のリスタートでお会いしましょう!