2020年04月28日(火) 18:00 16
スタンドには人影が無い中、降りしきる無数の雨が間近で見つめていた今年の桜花賞。重馬場を見方につけたスマイルカナが逃げ切りを図り、それを1番人気の支持を集めたレシステンシアが交わしたところ、猛然と後ろから追い込んできたのが2番人気のデアリングタクトだった。
僅か3戦のキャリアでの桜花賞制覇は史上3頭目の快挙であり、また馬主であるノルマンディーサラブレッドレーシング、生産牧場の長谷川牧場にとっても、これが初めてのGI制覇。父であるエピファネイアも産駒最初の重賞勝ちが、いきなりGI勝ちとなった。
デアリングタクトの育成先は新ひだか町のノルマンディーファーム。先日行われたPOG取材でも、クラブ所属馬を含めて多くの2歳馬を紹介してもらった。その時も取材対応をしていただいた、ノルマンディファームの岡田壮史氏は、
「クラブだけでなく、育成牧場で働く我々スタッフにとっても、モチベーションの上がる勝利となりました」
と話す。セレクトセールの1歳セクションで購入されたデアリングタクトであるが、岡田氏は当時の印象について、
「華奢に映りながらも品のある馬体をしていましたし、動かした時の印象も良かったですね」
と語る。セリの後はオカダスタッドのえりも分場において中期育成が施されると、馬体には幅も出てきただけでなく、ノルマンディファームでの騎乗育成にスムーズに入っていけるほどの体力も有していた。
実はノルマンディファームでは、この3歳世代から育成方針を変えていた。
「これまでよりも早めに入厩できるようにと、管理スケジュールを見直しました。育成スタッフにとっては、これまで培ってきた下地もあっただけに、こちらの指示に応えていくのは大変だったと思います」
その中で頭角を見せ始めたのがデアリングタクトだった。年が明けてから、・・・
赤本取材班
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