2020年08月22日(土) 12:00
北海道シリーズ最大の大一番、夏競馬のクライマックス札幌記念は、秋を見すえた実績馬と、これらと対戦することで手ごたえをつかみたい上昇馬がぶつかる。それは、夏から秋へ移り変わるころの空で夏の雲と秋の雲が行き交うさまを言った「行き合いの空」を眺めているようなもの。雲が走って月が姿を見せると、何故か白い花が目にとび込んでくる。
ずっとまえから咲いていたクチナシの白、あれは夜顔の白、それにキキョウにも白い花がある。涼し気でもあるし、その清澄なふん囲気に心がひかれてしまう。レースでどう人の心をつかむか、白い花を感じさせるものがどの馬か、しっかり見ていきたい。
洋芝の2000米、コーナーが4つあるコース。今週からAからCコースに替わることを考えると、一層スピードの持続力があれば有利に思える。当然、ここで激変するものも出てくる。そこで毎年気にするのが、逃げ馬だ。後続に脚を使わせ、自らは最後までバテずに走り切る、そういうシーンは、時折見てきた。
4年前、国際GI4勝(当時)のマイル王で単勝1.6倍のモーリスを逃げ切りで下したネオリアリズム。緩みないペースで先頭を切り、最後まで凌いでいた。今年は、函館記念で5Fを58秒8のハイペースで逃げ、0.4秒差で4着と踏ん張ったトーラスジェミニがいる。4歳馬でどんどん強くなっていける存在。どうレースをリードするかしっかり見ていきたい。
若い馬といえば、今年も一頭ブラックホールが出走してきた。春は430キロ前後の小さな体で、皐月賞9着、ダービー7着と健闘していた。3ヶ月ぶりで体に幅が出てきたゴールドシップ産駒がどこまでパワーをつけてきたか。菊花賞戦線に名乗りを上げられるかどうか。この一戦にかかっている。2014年に牝馬のハープスターが5F58秒4の速いペースを利して追い込んで勝ってはいるが、3歳馬がこの時期に勝つのは大変だ。牡馬では、4年前にNHKマイルC3着でダービーが8着だったレインボーラインが3着に入ったのが、最近では一番いい成績だ。果たして。
それと、牝馬に注目するのが今年の定石だとすると、大阪杯を勝ったラッキーライラックが勢いに乗っている。これと、昨年のヴィクトリアマイルの勝ち馬ノームコアの5歳馬2頭に加え、もう一頭ポンデザールを。スタミナがあり洋芝適性が高い。札幌だからこその馬だ。秋の目標が天皇賞と言うアドマイヤジャスタは、晩成型のジャスタウェイ産駒。集中して走れた函館記念に続き、ここでも精神面の成長を証明できれば目標に大きく近づける。どこに白い花を見つけるかだ。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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