2021年10月28日(木) 12:00 35
10月3日のスプリンターズステークスで、ピクシーナイトが曾祖父グラスワンダー、祖父スクリーンヒーロー、父モーリスにつづく日本初の父系4代GI制覇をなし遂げたことは、3週間前の本稿でも触れた。すごい時代になったなあと思っていたら、10月24日の菊花賞で、タイトルホルダーが高祖母ダイナカール、曾祖母エアグルーヴ、祖母アドマイヤグルーヴ、父ドゥラメンテにつづく日本初の親仔5代GI級制覇を達成した。
素晴らしい記録だが、これも通過点に過ぎないかもしれない。タイトルホルダーはドゥラメンテの初年度産駒なので、同世代や、2年目以降の産駒が、これからも親仔5代制覇達成馬に名を連ねる可能性がある。タイトルホルダーを含むそれらが繁殖馬となれば、この記録はさらに伸びていく可能性があるわけだ。
残念ながら、ドゥラメンテは今年8月31日に急死した。産駒は5世代しか残らない。それでも、種付頭数は2017年284頭、2018年294頭、2019年184頭、2020年178頭、2021年131頭と多かった。だいたいその7割弱が生まれているので、これからもドゥラメンテ産駒は続々とデビューする。タイトルホルダーを追いかける駿馬の登場が楽しみだ。
文章だけだとわかりづらいので、以下に親仔5代と4代でGI級制覇を達成したラインを記して整理したい。
【親仔5代GI級制覇】
■高祖母ダイナカール-曾祖母エアグルーヴ-祖母アドマイヤグルーヴ-父ドゥラメンテ-仔タイトルホルダー
【親仔4代GI級制覇】
■曾祖父グラスワンダー-祖父スクリーンヒーロー-父モーリス-仔ピクシーナイト
■曾祖父スペシャルウィーク-祖母シーザリオ-父エピファネイア-仔デアリングタクト、エフフォーリア
■曾祖母アグネスレディー-祖母アグネスフローラ-父アグネスタキオン-仔ロジック、ダイワスカーレット、キャプテントゥーレ、ディープスカイ、リトルアマポーラ、レーヴディソール
すべてのラインがこれからも新たな達成馬と、その先にラインを伸ばしていく可能性がある。
さて、先週の本稿で取り上げた「競馬やってる大喜利」の流行は、本当に、先週末で終わってしまった。今でもツイッターの検索窓に「競馬やってる」と入力するといくつか散見されるが、1週間前とは比較にならない寂しさだ。
私も、10月22日、金曜日を最後にツイートするのをやめた。それが11個目のネタだった。
すぐ手に入るものはすぐ不要になるのと同じなのか、あまりに一気に盛り上がったものは、飽きられたときの嫌われ方の度合いが凄まじい。
が、髪型やズボンの形、スカートの長さなどの流行は一定周期で繰り返されるものだ。またSNSなどで大喜利的なものが流行ったら、参加してみたい。
新型コロナウイルスの陽性者の数がこのところめっきり少なくなっている。何らかの症状が出て検査した人の陽性率が1%に満たないということは、市中で無作為にピックアップした人から陽性者を見つけ出すのは難しいほど少なくなったことを意味している。
そんな状況でありながら、30年来の知人が今月中旬コロナにかかり、5日間ほど集中治療室で意識を失う状態に陥った。幸い、意識を取り戻して転院したが、年内は退院できないという。
先週あたりから病院食でお粥が出るようになり、数日前からそれがご飯になったとSNSに投稿している。
私より10歳ほど上、すなわち60代後半で、ワクチンを接種していなかった。
自身が経営する出版社で、医師を著者とし、コロナウイルスは怖くないとする本を出すなどしているので、立場上、ワクチンを打ちづらかったのかもしれない。が、自分と家族のために、そして、慕っている私たちのためにもワクチンを打ってほしい。
これだけ市中にウイルスが少なくなっているなかでかかるということは、ワクチンによる免疫(抗体)の壁に守られていないと、ひどく脆弱で、スプレッダーにちょっと接触しただけでかなりの高確率で罹患すると言えるのではないか。
退院したら会う約束をしている。そのときにまだ打っていなかったら、目上の人には言いづらいことではあるが、ご自身と、私のためにも打ってくださいとお願いする。もちろん、うつしてほしくないからというのではなく、再度かかってほしくないからだ。
右回りコースの大井競馬場で左回りのレースが行われるというリリースが届いた。大井で初となる左回りレースは11月19日(金)の第12競走(20時50分発走予定)。その日から、大井は世界唯一の左右両回りコースになる。これは見に行かねば。
島田明宏
作家。1964年札幌生まれ。Number、優駿、うまレターほかに寄稿。著書に『誰も書かなかった武豊 決断』『消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡』(2011年度JRA賞馬事文化賞受賞作)など多数。netkeiba初出の小説『絆~走れ奇跡の子馬~』が2017年にドラマ化された。最新刊は競馬ミステリーシリーズ第6弾『ブリーダーズ・ロマン』。プロフィールイラストはよしだみほ画伯。バナーのポートレート撮影は桂伸也カメラマン。
関連サイト:島田明宏Web事務所