2023年03月08日(水) 18:01 139
▲福永調教師×佑介騎手、いよいよ最終回(撮影:桂伸也)
1年後に控えた厩舎開業。ジョッキーとして得た知識や信頼関係というアドバンテージから既に大きな期待が寄せられています。
しかし、福永騎手が一番優先したいというのが「馬のため」という信条。前回語られた27年間貫いたという馬に対する姿勢は調教師になっても変わらず、「それができないなら、騎手を辞めた意味がない」と覚悟を言葉にします。この対談もいよいよ最終回、最後に福永調教師の熱い思いが明かされます。
(取材・構成=不破由妃子)
佑介 祐一さんも、今年の12月で47歳。厩舎を経営するという意味では、若すぎると年上のスタッフばかりになってやりづらいところもあるだろうから、客観的に見てめっちゃいいタイミングだなと思います。23年という残りの年数も、長すぎず、短すぎずで、すでにコミュニケーションが確立されているオーナーさんもいて、スタートの位置も有利。そういったアドバンテージがある一方、大変でしょうけどね、注目度が半端ないから。誰よりも調教師に向いているという評価のなかでの開業で、成功して当然と思われているところがありますからね。
祐一 俺、最初からスムーズにいくなんて、これっぽっちも思ってないよ。
佑介 理想と現実のギャップにもがき苦しむ祐一さんの姿を見てみたい!「調教師、やっぱムズイわー」って(笑)。
祐一 今はまだ想像できないどんなトラブルが起こるのか、上手くいかないどんな要素が出てくるのか、そういうところも含めて楽しみにしてる。俺自身、最初から上手くいくなんて思っていないから、そこは過度な期待をしないでほしいな。そんな簡単なものじゃないんじゃない?
▲苦しむことすら楽しみ(撮影:桂伸也)
──福永さんは、「ムズイなー」って頭を抱えるような状況を本当に楽しみそう。で、前例のない解決策や打開策を試したりして。“福永祐一調教師”には、とにかく今までにないことをやってきそうなワクワク感があります。
祐一 俺もそのつもりだし、自分がやりたいようにできないのであれば、騎手を辞めた意味がないから。最高の環境のなかで楽しめていた騎手を辞めてまで調教師の道を選んだんやから、なにかに迎合したりとか、自分のポリシーを曲げたりとか、あるいは人間のエゴを通すようになったりとか、そういうことはしたくない。そうせざるを得なくなったとしたら・・・
藤岡佑介
1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。