母は重賞2勝の世界的超良血馬 秋の飛躍へ期待高まるアヴェラーレ

2023年08月14日(月) 18:00

血統で振り返る関屋記念

【Pick Up】アヴェラーレ:1着

 中団から馬群を縫って進出し、ディヴィーナに競り勝って初の重賞タイトルを獲得しました。

 ドゥラメンテ産駒は今年JRA重賞9勝目。種牡馬ランキングはロードカナロアに次いで第2位ですが、重賞勝利数ではロードカナロアの5勝を引き離してトップを独走しています。

 母アルビアーノは現役時代、スワンSとフラワーCを勝ち、NHKマイルCで2着、高松宮記念で3着となった活躍馬。母の4分の3妹に米最優秀3歳牝馬コヴフェフェ、母の伯父に名種牡馬アーチ(ブレイムの父、アンクルモーの母の父)がいるなど、世界的な良血といえる血筋です。

 現役で走っているころからその良血ぶりに魅了され、スワンSを勝ったあと、ブログに「繁殖牝馬として高確率で成功するはず」と記しました。初仔から重賞勝ち馬を産んだのはさすがの一語です。

 今回は直線で進路を探すシーンもあり、決してスムーズなレースではなかったのですが、それでも勝つのですから本格化の気配が漂います。着差以上に強かったので、秋が楽しみです。

血統で振り返る小倉記念

【Pick Up】マリアエレーナ:4着

 昨年、5馬身差で圧勝したレースですが、今年は直線で伸びきれず4着と敗れました。

 昨年と違うのはハンデが2.5kg重くなったこと。今年は56.5kgを背負いました。牡馬と牝馬の間には2kgのセックスアローワンス(性別による負担重量差)があるので、牡馬に換算すると58.5kg。実質的なトップハンデでした。

「クロフネ×ディープインパクト」はJRAで29頭出走し、その平均馬体重は456kgと小さめです。マリアエレーナは今回、428kgでした。母の父ディープインパクトは産駒のサイズが小さめなので、その影響でしょう。

 1986年以降、JRAで56.5kg以上を背負って平地重賞を勝った牝馬はのべ34頭を数えますが、そのなかで馬体重が430kg未満だったのは、2004年の福島牝馬Sを57kgで勝ったオースミコスモ(422kg)しかいません。428kgのマリアエレーナにとってこの斤量は厳しかったといえるでしょう。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【ダンシングブレーヴ】

 凱旋門賞をレコード勝ちするなど、現役当時から傑出した名馬と評価され、「ワールドベストレースホースランキング(当時はインターナショナルクラシフィケーション)」では、歴代3位の138ポンドを獲得しています。1980年代の世界最強馬、といっていいでしょう。

 種付けを始めた年にマリー病という不治の病にかかり、なおかつ1、2年目の産駒の競走成績が期待外れだったこともあり、イギリスで5年間供用されたあと日本へ輸出されました。3年目の産駒がそれまでとは見違えるように大活躍し、日本に移動したあともテイエムオーシャン、キングヘイロー、キョウエイマーチ、エリモシックといった大物を出しています。

 産駒はやや不器用なところが見られましたが、底力があり、スピードや瞬発力を伝えます。ディープインパクトの母の父アルザオは、ダンシングブレーヴと血統構成が酷似しているため、両者はニックスの関係にあります。

 父系は伸びなかったものの、オアシスドリームの母の父、ドバウィやキングマンの2代母の父など、現代の重要種牡馬たちの構成要素となっており、血の優秀さを証明しています。日本でも牡馬の代表産駒キングヘイローがブルードメアサイアー(母の父)として大ブレイクし、イクイノックス、ディープボンド、ピクシーナイトをはじめ多くの重賞勝ち馬を誕生させています。

血統に関する疑問にズバリ回答

「人気に推されて信頼できる種牡馬は?」

 プレッシャーに強い人、弱い人がいるように、人気に強い種牡馬、弱い種牡馬がいます。馬は人気を認識することがないので、近走の成績がアテになる種牡馬、アテにならない種牡馬、といったほうがいいかもしれません。原因不明の凡走を繰り返すような種牡馬は、人気に推されても買いづらいものです。

 2013年以降、平地競走で1番人気に推された馬の成績を調べると、平均連対率は51.1%です。それより上であれば信頼性が高く、下であれば信頼性が低いということになります。

 産駒が1番人気で100走以上した種牡馬に絞ってこの数値を出してみると、現役種牡馬のベスト5は以下のとおり。

 1位 リオンディーズ    60.5%
 2位 シニスターミニスター 59.7%
 3位 ゴールドシップ    56.3%
 4位 キズナ        55.4%
 5位 ヘニーヒューズ    54.3%

 唯一60%を超えてきたリオンディーズは、芝・ダートを問わず好成績です。とくに芝1800mの成績が優れています。2位シニスターミニスターは、連対率ではわずかに及びませんでしたが、勝率は40.7%でトップ。鬼門の東京ダート1600mを除いてダートであればまんべんなく好成績を挙げています。

 逆に、ディープブリランテ、エイシンフラッシュ、エスポワールシチーなどは1番人気の成績が不振。◎が並んでいる産駒がいたとしても買いづらいタイプです。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

関連情報

新着コラム

コラムを探す