2023年12月27日(水) 12:00
24日に中山競馬場で行われたGI有馬記念(芝2500m)の結果は、海外の競馬メディアでも大きく報じられている。
今後も現役を続ける勝ち馬ドウデュース(牡4、父ハーツクライ)の陣営からは、レース後、2024年の目標として「忘れものを獲りに行くこと」とのコメントが出された。武豊騎手で凱旋門賞を勝つことが馬主になった目的と公言しているのが、ドウデュースの馬主であるキーファーズの代表者・松島正昭氏で、“忘れもの”とは言うまでもなく、3歳だった22年に挑んで敗れた凱旋門賞である。
ブックメーカー各社は既に、24年10月6日にパリロンシャンで行われるG1凱旋門賞(芝2400m)の前売り馬券を発売している。現段階で各社が9倍から15倍のオッズを掲げて1番人気に支持しているのが、現2歳世代のシティーオブトロイ(牡2、父ジャスティファイ)だ。
18年に無敗の米国3歳3冠を達成した父の、2世代目の産駒となる同馬。母がG1フィリーズマイル(芝8F)勝ち馬トゥゲザーフォーエヴァーで、叔母にG1英オークス(芝12F)勝ち馬フォーエバートゥギャザー、叔父にG1ジャンプラ賞(芝1600m)勝ち馬ロードシャナキルがいるという血統背景を持つ同馬は、A.オブライエン厩舎からデビュー。3.1/2馬身差で制したG1デューハーストS(芝7F)を含めて、3戦3勝の成績をあげて2歳シーズンを終えている。
デューハーストSの後、共同馬主の一人であるM.テイバー氏が、「わが陣営に出現したフランケルだ」とコメントした同馬は、24年春のG1英2000(芝8F)へ向けた前売りでも、G1英ダービー(芝12F6y)へ向けた前売りでも、抜けた本命に推されている。現段階では7Fを超える距離を走ったことがなく、2400mをこなせるかどうかは全く未知数だが、凱旋門賞の前売りでも1番人気に支持されている。
これに続くのが、各社が15倍から21倍のオッズを掲げているオーギュストロダン(牡3、父ディープインパクト)だ。競馬ファンの皆様にはご説明するまでもないと思うが、愛国産のディープインパクト産駒で、23年はG1英ダービー、G1愛ダービー(芝12F)、G1愛チャンピオンS(芝10F)、G1BCターフ(芝12F)を制した、超一流馬である。当初は23年一杯で引退と言われていたが、陣営はG1BCターフ後に翻意。24年も現役に留まることになった。
馬場が乾いていた方が良い馬で、そういう適性であるゆえ、23年も凱旋門賞は使わなかったのだが、24年の凱旋門賞へ向けた前売りでは高評価を受けている。
大手のコーラルやラドブロークスが17倍のオッズを掲げて3番人気、ユニベットは13倍のオッズを提示して2番人気に推しているのが、日本調教馬のリバティアイランド(牝3、父ドゥラメンテ)だ。
23年の3冠牝馬で、その後、GIジャパンC(芝2400m)でも2着に好走。イクイノックス引退後の日本競馬を牽引する馬として、世界的にも認知される存在となっている。残念ながら、イクイノックスの走る姿を目の前で見ることが出来なかったヨーロッパの競馬ファンは、この馬にはぜひ遠征してきて欲しいと、日本の新たなるスターホースに熱い視線を送っている。
各社が17倍から25倍のオッズを提示しているのが、シティーオブトロイと同じ現2歳世代で、厩舎も父も同じというオペラシンガー(牝2、父ジャスティファイ)だ。
G1チェヴァリーパークS(芝6F)勝ち馬ブレイヴアンナ、G1BCジュヴェナイルターフ(芝8F)勝ち馬ヒットイットアボムの半妹となる同馬。2歳時は5戦し、5馬身差で完勝したG1マルセルブーサック賞(芝1600m)など、2重賞を含めて3勝をあげた。
同馬もまた、24年春のG1英2000ギニー(芝8F)へ向けた前売りでも、G1英オークス(芝12F6y)へ向けた前売りでも1番人気に推されている。そして同馬もまた、マイルを超える距離への対応は未知数だし、仕上がり早の牝系を背景に持つだけに、3歳になっての成長力も問われている。
ウィリアムヒルなど数社が17倍のオッズを掲げているのを筆頭に、各社が17〜34倍のオッズを提示しているのが、23年のG1チャンピオンS(芝9F211y)勝ち馬キングオヴスティール(牡3、父ウートンバセット)だ。
ドウデュースを前売りリストに入れているのは、25日の段階ではウィリアムヒルのみで、オッズ21倍の5番人気となっている。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。
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