アプリ限定 2024年09月09日(月) 18:01
障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、一昨年の夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く連載コラム。
“これから”の生活について1時間に渡って夫婦で話し合いをするも、翌朝には元通りの雄造騎手。一歩進んで二歩下がる様子に、由紀子さんは頭を悩ませます。
またリハビリをせずに自室で眠っていたある日、白浜家の救世主が登場しました──。
「俺の人生、全部終わり」──突然現実に引き戻され、戸惑いながらも胸の内を明かしてくれた夫。そんな夫を前に、私は“これから”について話を進めていきました。
「まずはリハをしっかりやって、車の運転もできるようになって、身体と頭を整えることから始めてみたらどうやろう? 日常生活をしっかりと送れるようになってから、厩務員さんのお仕事は自分に務まりそうなのか、助手として競走馬に乗れるのかを考えたらいい」
「騎手への未練はもちろんあると思う。でも、無理なものは無理。それなら手放してしまったほうが楽になると思わない? 落馬をしてしまったことに後悔はあると思う。それは当然。でも、自分の人生の足を引っ張った過去の出来事に未来も潰されていいの?」
「リハビリをして自分の手持ちのカードを増やして、これからの人生で自分が納得できる落としどころを見つけてみない?」
「1日24時間。ありきたりな言葉やけど、同じ時間を過ごすなら楽しんだほうがいい。ずっと暗い顔してるけど、今の手持ちのカードから楽しみを見つければいいやん!」
私の言葉に夫は何度もうなずきながら、こんなことを言い出しました。
「ママはいつもポジティブで合理的にいろんなことを決められていいね。確かにずっと人生楽しんでるもんね。俺が入院してたときもすぐに仕事に復帰して、競馬場の食堂でバレットのみんなとケラケラ笑って飯食ってたって聞いたで(笑)。過去のラインを見ていたら入院中にもめちゃめちゃ出掛けていたし、ママ友達と旅行にも行ってたね。一番びっくりしたのは、俺が落馬した2週間後に琵琶湖で泳いでいたこと。俺にはできない。俺が女性でママの立場なら今後の生活が不安で仕方ないと思う。ママの人生を楽しむ力があれば、何があっても楽しく暮らしていけそうでうらやましい」
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白浜由紀子
1981年9月9日生まれ。2015年に障害騎手の白浜雄造と結婚。1男1女をもうける。結婚前は四位洋文調教師や福永祐一調教師(両名、当時騎手)らが所属していたマネージメント会社にてマネージャーを務め、TV番組収録やイベント等、様々な現場で騎手をサポート。福永調教師の引退までの16年間はバレット業務も兼任。福永厩舎開業後は経理兼秘書業務を担当予定。現在はオンラインサロン「福永祐一 競走馬研究所」の運営スタッフを務める傍らフリーランスとして活動中。新たな目標のアイシングクッキー講師としても活動すべく準備中。(旧姓は坪田、また戸籍上の表記は幸子)
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