迷いなき逃げ宣言をしてくれた津村ウインガナドルに一発託したい/トレセン発秘話

東京スポーツ

2017年10月19日(木) 18:00

“馬場悪化はむしろ歓迎”と津村騎手が語るウインガナドル(写真は17年夏木立賞優勝時、(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規)

 菊花賞が間際に迫り、ふと思い出したことがある。セントライト記念の翌週、手塚貴久調教師が当方にポツリと漏らしたひと言だ。

「もし出てたら勝てたかって? う〜ん、どうかなぁ。無事に出走できても、あの馬の切れ味には屈した気もするし…」

 “あの馬”とは菊花賞で1番人気が予想されるミッキースワロー。出走がかなわなかったのは、挫石で回避となった無敗馬セダブリランテスだ。手塚師の管理馬とて3戦3勝と底を見せておらず、当初は打倒アルアインに燃えていた好素材。それだけに戦わずして“一枚上”と言わせた決め手が、世代屈指であるのは間違いないだろう。

 ただ、それはあくまで良馬場が前提の話。先週の秋華賞の結果で少々考えることもある。勝ったディアドラは、1札・HTB賞(1着)で466キロだった体を紫苑S(1着)で12キロ増、本番でさらに12キロ増とビルドアップさせた。牝馬の馬体増は、精神面の充実と並行して表れるもの。先週同様に降雨の影響が懸念される今週も、フィジカルよりメンタル重視が正解ではないのか。そんな思いが湧き出てくる。

「レース前は常にカリカリしてテンションが上がっていたのが1年前。特に長距離輸送を挟んだ小倉(あすなろ賞7着)はガタッときたので、新潟の前走は正直そんな不安もあったんですけどね。それが古馬相手に落ち着いて走って着差もわずか。本当に精神的な成長を感じました」

 主戦・津村明秀がこう語るのはGIII新潟記念で0秒1差4着に健闘したウインガナドル。初重賞のGIIIラジオNIKKEI賞では前出セダブリランテスとクビ差の接戦(2着)を演じた“隠れた夏の上がり馬”である。

「最後まで諦めずに走っていた前走内容から距離は持つと思うし、重馬場の夏木立賞を勝っているように馬場悪化はむしろ歓迎かもしれません。逃げ切りが難しいと言われる菊花賞ですが、一発狙うならハナしかないかな。ペース配分がカギですが、混戦だけにノーチャンスとは思ってませんよ」

 迷いなしの逃げ宣言。加えて血統を見れば、メジロマックイーンの肌にステイゴールドという非凡な成長力に富む黄金配合である。秋華賞は同じステイ産駒のカリビアンゴールド◎で撃沈した当方だが、今週も懲りずに狙う手はありとにらんでいる。

(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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