「
宝塚記念・G1」(24日、阪神)
上半期を締めくくる
グランプリを制したのは、7番人気の伏兵
ミッキーロケット。直線鮮やかに抜け出し、悲願のG1初戴冠を果たした。和田は17年ぶりの制覇で、G1連敗を120でストップした。2着に10番人気の香港馬
ワーザー、3着には12番人気の
ノーブルマーズが入り、3連単は49万円馬券の大波乱。ファン投票1位で1番人気の
サトノダイヤモンドは6着に敗れた。
殻を破った。G1ではワンパンチ足りなかった
ミッキーロケットが、好位から積極的に動き、直線入り口で先頭に躍り出る。その背には、久々のG1勝利を渇望する和田。苦汁をなめてきたコンビが、人馬一体となってゴールを目指した。ラスト1Fは、渾身の右ステッキ連打。外から強襲する
ワーザーを首差しのいで栄光のゴールへ飛び込んだ。
テイエムオペラオーで制した01年
天皇賞・春以来、17年ぶりに味わう歓喜の輪。殊勲の鞍上はあふれる涙をこらえ切れなかった。「長かったですね。この一戦に懸ける思いがね…オペラオーが後押ししてくれたと思います」
見えざる力に頼ったわけではない。冷静かつ大胆な手綱さばきが光った。くしくもオペラオーのG1連勝が止まった01年
宝塚記念と同じ4番から絶好のスタート。「馬場が乾いてくれたので、内のいいところを通ろうと思っていた。スタートが上手になってくれた。それが心強かった」。稍重で前半5F通過59秒4という
ハイラップながら、「ロングスパートをかけようと思っていた。勝負どころだけついて行ければ、長くいい脚を使う馬。長くコンビを組ませてもらって、特徴を生かせた」。ここ一番で、人馬の絆が決め手となった。
“次に会うときはG1を勝ってから”。そう心に決めていた。だが今年5月、G17勝を挙げた盟友
テイエムオペラオーが、繁養先の牧場で心臓まひのため急死した。同期の福永がダービーを制し、刺激を受けた翌週。北海道へ出向き、墓前に感謝をささげた。「勝って行きたかった。複雑な思いはあったが“そんなにこだわらなくていいんだよ”と言ってもらったような…晴れ晴れしい気持ちで帰ってこられた」。この瞬間が盟友からの“後押し”だったのかもしれない。
前日の23日が41歳の誕生日。まさに、このG1勝利で生まれ変わった。「本当に勝てなくて悔しい思いをずっとしてきた。“負けてない”という気持ちで続けてこられていた。師匠の岩元先生(今年2月に定年)も見守ってくれていたと思う。家族も初めて生で見せることができた。報告できるのがうれしい」
上半期のG1を締めくくり、勝負の秋へ。「17年前を思い出しました。こんな感じだったな、と。“勝ち切る”というのが大事なことだと思います」。勝利の味を思い出した和田が、
ロケットとともに走り続ける。
2018/6/25 7:47
オペラオーが亡くなって、和田が勝つ
こんなドラマがあるから競馬辞めれんねん。