今週から夏の北海道シリーズ(函館開催)が開幕。美浦でも関係者とのあいさつに出張の話題が交じるなど、いよいよローカルモード突入の趣が増してきた。そんな折、
札幌記念(8月18日)を
ステップに
凱旋門賞(10月6日)に挑む
フィエールマンに関して、当方は
手塚貴久調教師から興味深い話を聞く機会を得た。まず驚かされたのは指揮官の次なる言葉である。
「
札幌記念は函館競馬場で調教して、レース前日に札幌競馬場に入る予定でいる」
天皇賞・春を完勝し、本格化ムードを漂わす同馬にとって、いまだ当方が懸念するのは環境への適応能力。見知らぬ場所では食いが細くなり、体を減らすことも過去には少なくなかった。実際、初の輸送競馬になった昨年の
ラジオNIKKEI賞(2着)を前走比10キロ減で迎えたように、馬体重が調子のバロ
メーターになってきたのも事実である。初の函館入り、加えて初の札幌輸送は相当なリスク含みではないかと当初は考えた。
「それでも昨年の
菊花賞や、天皇賞でしっかり馬体を維持して出走できたように、徐々に精神面も成長してきた感はあるよ。それに今回は、いろいろと試したいこともあるからね」(同師)
聞けば
ステップとなる
札幌記念は、
凱旋門賞のモデルケースとして陣営が周到に用意したものであるという。それは単に洋芝の走りを確認するのみならず、出走の前段階に大きな比重を置くものでもあった。
「
フィエールマンはフランスではなく、実は英国のニューマーケットで調教するプランがあるんだ。施設としては坂路も含めて、よりしっかりしており、ぶっつけになる分、天皇賞同様に直前もしっかり攻めて挑みたい気持ちもあるんでね。初めての競馬場でどれだけ調教を積めて、その後に初めての競馬場に運んで馬がどうなのか。札幌はそれを見極める一戦にもなると思う」(同師)
これまで日本馬の
凱旋門賞挑戦は、フランスの
シャンティイ(主にエーグル調教場)で追い切って挑むのが通例のパターンであった。ただ、日本のトレセンと異なり、広大な自然環境に囲まれる
シャンティイは心身の負荷を測りにくいという側面を抱えていたのも事実である。もし、
フィエールマンが
札幌記念をクリアし、日本馬初のニューマーケット経由で好走することがあれば…。
凱旋門賞に新たな攻略法が確立されるかもしれない。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
2019/6/13 18:48
フランスにノーザンファーム仏を作って牧場仕上げでいいんじゃない?