ハヴァスがダッシュよくゲートを飛び出し、ハナに立った。ブルーバード、ロードマックスらがつづく。ハヴァスは後続との差をじわじわ広げ、2番手を3、4馬身離して逃げつづける。

　戸崎圭太が騎乗する2番人気のショックアクションは、2番手を2馬身ほど前に見る好位の外目で脚を溜めた。

「前走で乗った(福永)祐一さんから乗りやすい馬だと聞いていました。位置もある程度取って行こうと思っていましたが、前が流れて、いいところにおさまったと思います」と、テン乗りとなった戸崎は振り返る。

　縦長になった馬群は、道中、大きな動きがないまま直線に入った。

　先頭は馬場の真ん中を行くハヴァス。2番手集団は2馬身ほど後ろだ。そのさらに後ろの外目にいたショックアクションは、ラスト600mを切ったあたりで少し内に行き、前に壁となる馬のいないところに持ち出した。

「バラけると思っていました。馬場のいいところを通ってくることができました」と戸崎。

　ショックアクションはそのままハヴァスとの差を詰め、ラスト400m付近で戸崎の手が動くと、外からじわっと並びかけ、ラスト200m手前で先頭に立った。

　戸崎は馬銜を詰め、左ステッキを入れてショックアクションを叱咤する。

「先頭に立ってからもしっかりと最後まで走ってくれました。まだ緩さがあるので、先々しっかりしてきたら、楽しみな馬になると思います」と戸崎。

　ショックアクションはさらに末脚を伸ばし、2着を1馬身3/4突き放して重賞初制覇を果たした。

　2着は同じゴドルフィンの所有馬で、1番人気に支持されていたブルーシンフォニー。3着は3番人気のフラーズダルムと、人気3頭が上位を占めた。

　毎年このレースは前半がスローになりやすいのだが、ハヴァスが引っ張った今回は、前後半800mが47秒3-47秒3というイーブンペースになった。

　瞬発力勝負よりも底力勝負の色合いが濃くなったなか、名手に導かれた素質馬が、危なげない横綱相撲を見せてくれた。

(文：島田明宏)