【朝日杯FS/ターコイズS】セリフォス「重賞連勝」の勢い作ったアンドラステ/トレセン発秘話

東京スポーツ

2021年12月17日(金) 18:01

アンドラステの走りにも期待大(c)netkeiba.com、撮影:小金井邦祥

 東西のトレセンに所属する厩舎は、それぞれに決まった数の馬房が割り当てられ、一般的には厩務員、持ち乗り調教助手が2頭ずつを担当するシステムが主流を成します。その担当馬2頭が同時期に重賞に出走、ましてやともに勝利を飾るなど確率的には極めてまれなことと思われるでしょうが、意外にもよく見られる光景だったりします。

 古くは担当馬2頭の活躍を祝して厩務員さんが製作したというテレホンカード。ミスタートウジンイクノディクタスが隣同士の馬房で仲良く過ごす姿を切り取ったツーショットに、ほのぼのとした気持ちになりましたもんね。もちろん、重賞を勝ちまくっている厩舎に属しているとか、“腕利き”と厩舎内で信頼を集める厩務員さんは、血統のいい期待馬を任されることが多いといった要因はあるのでしょうが、1頭の担当馬が活躍することでいい流れをつくり、それがもう1頭の気配アップにもつながっていく。そんな数字では測れない、循環の良さのようなものを感じることが多々あります。

 中内田厩舎の三上調教助手はセリフォスアンドラステを担当しており、今年すでに重賞3勝の大活躍。そしてアンドラステは土曜中山のターコイズSセリフォスは日曜阪神の朝日杯FSへ出走します。ともにチャンス十分の有力馬ではありますが、世間的関心は無傷3連勝中でGI制覇の期待がかかるセリフォスのほうにより向けられることでしょう。しかし、当の三上助手にとって今年の重賞勝利で最も感慨深かったのは7月の中京記念…そう、アンドラステの重賞初制覇の瞬間だったとか。

「これまで何度もチャンスはあったのに、なかなか勝たせてあげることができなかった。それだけに繁殖に上がるまでには何とか…という気持ちが強かったから勝ってホッとしたというか、本当にうれしかった。アンドラステがいい流れを呼び込んでくれたからこそ、セリフォス新潟2歳S(8月)からデイリー杯2歳S(11月)へとつながった気がしている」

 願い続けた努力が報われた喜びと勝負事の世界での流れの重要性を改めて教えてくれました。

 では連日の出走となる今週はどんな流れに? まずはアンドラステが懸命の走りを見せてくれれば、必ずセリフォスにもつながるはず。相乗効果の期待が持てる2頭の走りに注目しないわけにはいかないでしょう。

 一方、担当馬が同時期に活躍した近年の事例でとくに有名なのはロードカナロアカレンチャンというスプリント王者を担当していた安田隆厩舎の岩本助手。現担当馬はなんとダノンスコーピオンで、こちらも朝日杯FSの勝利を目指しているわけですが、彼が担当しているもう1頭が先週の香港スプリントがラストランとなったダノンスマッシュでした。

 今年は日程的に香港までの帯同がかなわず、ダノンスコーピオンの調整に集中しながら現地へエールを送る形となり、「向こうへ行けない分、テレビでめっちゃ応援しますよ。でも、かえってドキドキするだろうなあ」と話していましたが、ご存じのように大きな落馬事故に巻き込まれる予期せぬ事態に…。

「結果(8着)どうのより、人も馬も無事だと聞いて本当に良かった。ひっくり返らずに前の馬をジャンプしてかわしてましたからね。スマッシュなら種牡馬になっても大仕事をやってのけるはずです。僕も今度はスコーピオンで香港行きを目指さなきゃですよね」

 こちらは流れがいいとは言えませんが、ダノンスマッシュが残してくれた財産は、次世代のスコーピオンへと引き継がれていくに違いない。そんな視点でも才能豊かな若駒が集う2歳GI朝日杯FSを楽しんでみたいと思っています。

(栗東のバーン野郎・石川吉行)

関連情報

みんなのコメント

フィルタ

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・報告・コメント非表示の使い方
  • 非表示・報告をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 非表示・報告をクリックし「このコメントを通報する」を選択することで運営会社に申告できます。
  • ※報告内容について、削除等の処置をお約束するものではありません。確認を行った結果、違反が認められない場合は削除などの措置は行わない場合もあります。なお、報告に対する個別の回答は行っておりません。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

新着ニュース

競輪を手軽に楽しもう!netkeirin

ランキング

      ニュースを探す