白毛馬
ソダシが一身に注目を集めた昨年とは対照的に、今年の牝馬クラシック戦線は主役不在の混戦模様。
桜花賞を終えて、その印象はさらに強まったように思える。
とはいえ、混戦の質は
桜花賞と
オークスで少々違うのかもしれない。前者は1番人気
ナミュール=18番、2番人気
サークルオブライフ=16番と、ともにフルゲートの外枠発進で競馬が難しくなったことが勢力均衡の呼び水となり、波乱を生んだ一面も。
一方、後者は未知の2400メートルへの対応が全馬にとっての関門に。もともと枠順や展開次第で結果が読みづらくなる力関係に、距離適性という新たな要素が加わったことが混戦イメージをより強くしている印象だ。
それゆえ、今年は
桜花賞とは別線組に逆転の期待をかけるファンも多いはず。記者が注目する一頭が
フローラS(24日=東京芝2000メートル)の
ルージュスティリア。「東京は初めてになるが、同じようなコース形態の新潟でデビュー勝ちをしている馬。ひっかかったりするタイプではないし、跳びの大きな馬なので距離延長も心配ない」と田代助手が話す名門・藤原厩舎期待の良血
ディープインパクト産駒だ。
改めてその初戦(芝外1800メートル)を振り返ると、
ルージュスティリアの素質の高さが浮き彫りになる。好発を決めた後に、スッと控えて中団待機。1000メートル通過65秒9の超スローにも折り合いを欠くことなく、ラスト3ハロン11秒1-10秒4-11秒4の瞬発力勝負を鮮やかに突き抜けてみせた。
しかも、当時0秒1差2着に負かしたのが後の
桜花賞馬
スターズオンアースとなれば、混迷の樫戦線に割って入るだけの可能性は十分に秘めている。
新馬戦快勝後は放牧を挟んで昨秋に一度は帰厩したものの、体調が整わず再度放牧に出され、
チューリップ賞(6着)が7か月ぶりの復帰戦に。その前走について田代助手は「全体的にいかにも休み明けの感じがあった」と振り返る。
キャリア1戦の身で、これだけ間隔が空いては“2度目の新馬戦”を走るようなもの。ただでさえ楽ではない初の重賞挑戦で、出遅れの不運まで重なっては力を出し切れないのも無理はない。それでも「最後は自分の脚(最速上がり33秒9)を使えていたし、よくあそこまで差を詰めてきた」と敗戦の中にも明るい材料を見いだしている。
「中間は短期放牧を挟んでここを目標に調整。使って落ち着きが出てきたのはいい傾向だし、東京の輸送にも動じることはないと思う」と田代助手。上昇ムード漂う調整過程から、さらなるパフォーマンスアップが期待できよう。
まだキャリア2戦と伸びシロ豊富な
ルージュスティリア。この
フローラSでは、いい意味で
オークスの混戦模様に拍車をかける走りを見せてもらいたい。
(西谷哲生)
2022/4/21 8:06
これは来そう。