GIII
阪急杯(26日=阪神芝内1400メートル)といえば、GI
高松宮記念の重要な前哨戦。3勝クラスを勝ち上がったばかり、ましてやオープン初出走の馬にとっては、とてつもなく敷居の高いレースかと思われるが…。それでも3連勝で一気にオープンまで駆け上がってきた
アグリの挑戦には期待せずにはいられない。
なぜなら管理する安田隆厩舎といえば、これまで
カレンチャン、
ロードカナロア、
ダノンスマッシュといった短距離王を次々に出してきた名門中の名門。それだけでも「新星誕生」の予感を抱かせるに十分な
バックボーンではないか。
もちろん、勢いに任せたやみくもなチャレンジではない。強調すべきは連勝の内容に確かな成長が感じられる点。特に足踏みの続いていた1勝クラスを脱した後の当舞台連勝ですさまじい進化のスピードを見せつけた。
2勝クラスは前半の入りを超スローに落とせたがゆえの逃げ切りに映るかもしれないが、最速上がりをマークして後続を4馬身突き放してしまったとなれば、展開利による勝利には当たらない。続く3勝クラス・
六甲アイランドSでは2番手から楽に抜け出し、前回の1分21秒9から1分20秒3まで一気に勝ち時計を短縮してみせた。
「2走前は形の上では逃げ切りでしたが、今までにない瞬発力を見せてくれたし、前走は番手からでも上手に運べて強い勝ち方でした。夏を過ぎたあたりから馬に芯が入ってきた感じがあって、それが結果につながっているんだと思います」
以前の追い出してからが甘くなるイメージが払拭されたことに手応えを感じている安田助手は、同時に素質開花を告げる中間の気配を説明する。
「以前は調教でも手前を替えてばかりというところが見られたのですが、秋以降はそういった面もなくなり、今は楽に走れているというのかな。調教で同じように速い時計が出ていても、最近は動きの質が違ってきた感じがするんです」
もちろん、条件クラスでどんなに強い勝ち方をしていても、ペースや展開などが大きく違ってくる重賞ともなれば、これまでのようなレース運びができず、壁にはね返される馬は数多い。
アグリもまた経験したことのない激流に脚を使わされて失速するケースは否定できないが…。
「ためを利かせる競馬なら、どれだけの脚を使えるのか。もっとすごい瞬発力を見せてくれそうなイメージが、調教で乗っている雰囲気からは伝わってくるんです。強いメンバーを相手にした重賞だからこそ、新しい面を引き出せるかもしれない。そんな楽しみもある挑戦になると思います」
今までとは違った競馬で、重賞の壁までも一気に突破するようなら、まさに覚醒の時を迎えたことを意味する。その先に見えてくるものは、厩舎の先達が歩んだ道のりとなろうか。
アグリの今週のチャレンジを先々への夢もはせつつ、見守ろうと思っている。
(栗東のバーン野郎・石川吉行)
2023/2/21 22:15
ドライスタウトでこういうのは懲りた。