【サンタアニタダービー】マンダリンヒーロー大健闘 鼻差2着 ケンタッキーダービー目指す

スポニチ

2023年04月10日(月) 05:29

サンタアニタダービーで鼻差2着だったマンダリンヒーロー(中央)(Benoit Photo提供・AP)

 昭和の怪物ハイセイコーを生んだ大井競馬場から、新たなスター候補の誕生だ。8日(日本時間9日早朝)、米国のサンタアニタパーク競馬場で行われたG1サンタアニタダービー(ダート1800メートル)に、地方馬として初めて出走した同競馬場所属のマンダリンヒーロー(牡3=藤田輝信)が鼻差2着に大健闘。米クラシック3冠の第1弾ケンタッキーダービー(5月6日、チャーチルダウンズ)挑戦が現実味を帯びてきた。

 歴史的偉業に、あと一歩まで迫った。カナダを拠点に活躍する日本人騎手・木村和士とコンビを組んだマンダリンヒーローは道中5番手から徐々に上昇。直線は先頭を走るプラクティカルムーブと壮絶な叩き合い。わずかに鼻差及ばなかった。

 「直線を向いて少し詰まった。そこがなければもう少しスムーズに伸びたかな」。悔しさをにじませながら冷静に振り返った木村。「(ゴール後)勝ったジョッキーが“おめでとう”と言ってきたので勝ったと思ったが、掲示板を見て“負けてるやん”となった」と周囲を笑わせた。

 地方競馬所属馬として史上初の米国遠征で、ダート競馬の本場のファンをうならせる激走。現地で見守った藤田輝信師(46)も「直線は興奮して覚えていない。5着以内なら上出来と思っていたので」と驚きを隠さない。

 サンタアニタ競馬場と友好提携関係にある大井は、18年にサンタアニタダービーポイント制度を開始。規定ポイントを獲得すれば大井が持つ出走枠(2頭)で同レースへの出走が可能となった。

 マンダリンヒーローはその第1号。当地で研修経験もある藤田師は大井でも海外通として知られる存在。「この制度ができた時から、片時も忘れることなく出たいと思っていた」と夢を実現させた。

 この2着で米クラシック第1弾ケンタッキーダービーのポイントランキング24位にランクイン。フルゲート20頭で現時点では上位馬の回避待ちだが、繰り上がり出走に懸けて現地滞在を続ける。「オーナーも“ケンタッキーダービーを目指しましょう”と言ってくれた」と藤田師は前を見据える。

 大井から中央へと乗り込んだハイセイコーが一大ブームとなったのは73年。あれから半世紀。ダート競馬の本場に乗り込んだシン・大井の野武士が旋風を巻き起こすか。

 サンタアニタダービー 1935年創設。4月にサンタアニタパーク競馬場(カリフォルニア州)で行われる、現行ではアメリカ西海岸唯一の3歳G1。ケンタッキーダービーの重要な前哨戦の一つに位置づけられている。過去の勝ち馬には、米クラシック3冠を達成したアファームド(78年)、ジャスティファイ(18年)や、14&16年の米年度代表馬カリフォルニアクローム、さらには近代日本競馬の祖ともいえるサンデーサイレンスなど名馬がズラリと並ぶ伝統の一戦。19年から大井所属馬に出走枠が設けられていたが、出走したのはマンダリンヒーローが初めて。

 木村和士騎手 1999年(平11)9月6日生まれの23歳。実家は北海道浦河町で育成牧場を経営。幼い頃から騎手を志し、JRA競馬学校騎手課程に西村淳也らと同じ第34期生として入学したが、環境になじめず退学。それでも騎手になる夢を諦めず、17年に単身カナダへ。18年にカナダの年度表彰「ソヴリン賞」の最優秀見習騎手賞を受賞、19年に米国の年度表彰「エクリプス賞」を日本人として初めて受賞(最優秀見習騎手部門)した。20年にサマーS(グレツキーザグレート)でG1初制覇。21年から2年連続でカナダリーディングに輝いた。今年3月にはフランクEキルローマイルSをゴールドフェニックスで制し、米国G1初制覇を果たしている。

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