夏競馬期間中は暑さ対策もあってトレセンの調教開始時間が午前5時に早まります。それでもある程度、時間がたったころには強烈な日差しに照らされて人馬とも汗だくに…。厩舎へ取材に行くと、運動を終えた馬が洗い場で気持ち良さそうに水を浴びている姿をよく見かけます。立派な大人であるはずの記者も、その光景を見るたびに水浴びをしたい衝動に駆られるほど、とにかく暑い。
日ごろからどんなに厩舎スタッフが暑さ対策に心血を注いでも、今夏の酷暑を苦にして成績を落とす競走馬は少なくありません。最近では
アイビスSDで1番人気に支持されながらも、最下位18着に沈んだ
ファイアダンサー。管理する鈴木慎調教師がSNS上で「レース後は熱中症のような症状が見られ、暑さに負けてしまったようです」と、やはり“暑さ”を敗因に挙げたことが話題になりました。
そんな酷暑にも負けじと顔を揃えたGIII
小倉記念(13日=小倉芝2000メートル)の出走メンバーの中でも、「暑さに強い馬なんです」(宮田助手)と“夏男”として真っ先に名乗りを上げたのが
カテドラルです。
昨夏の成績を振り返ってみると、
中京記念で10番人気を覆す2着に激走、続くこの
小倉記念でも4着に善戦。確かに良績を残しています(ちなみに一昨年の
中京記念でも2着)。どうして暑さに強いのか。その秘密を宮田助手にうかがうと「冬場は馬体が増えて全体的に体が詰まってくる感じがあるんです。でも、夏場は汗をいっぱいかきますし、代謝も良くなって、身のこなしにスムーズさが生まれるんですよ」。昨夏の好走劇にも、ちゃんとした裏付けがあるんですね。
近2走はダート重賞に挑戦したものの、
マーチSは9着、続く
平安Sは12着と結果を残せませんでした。もっとも「半兄にダート重賞を勝った馬(
ジェベルムーサ)がいたし、
パワータイプの見た目からしてダートもこなせるかと思っていましたが…。まあ、相手はダートの実力馬たちでしたし、結果を見るとやはり芝向きってことなんでしょう」と宮田助手はサバサバした表情で振り返ります。
そう、近2走を度外視すれば、3走前の
小倉大賞典ではトップハンデの58キロを背負いながらも、
ヒンドゥタイムズとハナ差2着の大接戦を演じているのですから、今夏もまた活躍してくれそうな予感は十分です。
「7歳の夏を迎えてもまだまだフレッシュで、元気いっぱいですからね。小倉はやはりこの馬に合っていますし、もちろん2000メートルに距離が延びても問題ないですよ」(宮田助手)
得意な季節&コースで見事にVを決めた暁には、「夏男」
カテドラルと勝利の美酒ならぬ“勝利の美水”で乾杯したいと勝手に思っています。
(栗東の
ロマネスク野郎・明神瑠)
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