「斤量」は
競馬予想に欠かせない重要な
ファクターの一つ。とりわけ、その影響が如実に表れるのがハンデ戦だろう。レース当週にハンデが発表されると、厩舎関係者が一喜一憂する姿が定番になっており、よくある声は「57キロまでは許容範囲だけど、57.5キロだと厳しいかなぁ…」といったもの。素人目では「たった0.5キロでそんなに違うの?」と感じてしまうが、その0.5キロがあるか、ないかで勝負際での伸び脚に大きくかかわってくるのだそうだ。
「ハンデ(55.5キロ)が重かったですね」
苦い表情で
北九州記念2着を振り返ったのは
ママコチャを管理する池江調教師。それまで1400~1600メートルを主戦場にしてきた馬が、前回は距離を縮めて初のス
プリント重賞に矛先を向けた。互角のスタートを決めると、道中は5~6番手で流れに乗る。直線でも鞍上のゲキに応えて脚をグッと伸ばすも、テンからハナを主張した
ジャスパークローネにわずか半馬身差およばず、逃げ切りを許してしまった。
「
アローワンス(牝馬は2キロ減)を考えれば、勝ち馬(57キロ)よりもこちらが(実質)0.5キロ重たかった。その差だと思います。勝ち馬はその前に重賞(
CBC賞)を勝っていたのに対して、こちらは勝っていない。あのハンデは不可解でした。重賞の権威が落ちてしまいますよね」(池江調教師)
ママコチャはその前の安土城Sを1分19秒0の好時計で3馬身差圧勝。確かに強い競馬だった。ただ、あくまでリステッドでの結果。にもかかわらず、重賞を勝った馬よりも高く評価されたのだから、トレーナーが苦言を呈するのは無理もないが…。裏を返せば、そうした逆境の中で2着に食い込んだのは紛れもなくポテンシャルの高さの証し。最高峰の舞台、
スプリンターズS(10月1日=中山芝外1200メートル)を前にしても期待は一層、高まる。
「今度は定量戦ですから。もちろんGIで相手は揃いますが、力はあるのでチャンスはあると思いますよ」
初めての距離、納得いかないハンデにもかかわらず、初タイトルまであと一歩まで迫った
ママコチャなら…。GIという大舞台で初タイトル奪取を決めても驚きはない。
(栗東の二代目野郎・明神瑠)
2023/9/27 21:14
勝ち馬に絡んだ馬は全滅しとるし