【菊花賞】ソールオリエンスの力を信じる手塚調教師「(ライスシャワーの)新馬戦は1000メートル。強い馬には関係ないんだよ」/トレセン発秘話

東京スポーツ

2023年10月19日(木) 18:01

再び強さを見せられるか注目が集まるソールオリエンス(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規

 先週の秋華賞ではリバティアイランドが牝馬3冠を達成。京都競馬場では3冠達成記念カードが配られました。一方、3冠を阻み“ヒール”となった馬もいます。

 92年菊花賞ミホノブルボンの3冠を阻止したのがライスシャワーシンボリルドルフ以来8年ぶり、史上2頭目の「無敗の3冠馬」誕生に多くの人が熱視線を注ぎ、当日はセレモニーの用意もされていたそうです。的場均元騎手(現調教師)は「準備をしていた人たちに嫌みを言われたよ(笑い)」と当時を振り返っていました。

 ライスシャワースプリングS(4着)→皐月賞(8着)→日本ダービー(2着)→京都新聞杯(2着)と直接対決ではすべて敗戦。それでも、的場騎手は菊花賞での“逆転”を信じていました。

京都新聞杯(2着)が終わった時に、菊花賞はチャンスだって厩務員に言ったんだ」

 ミホノブルボンに逃げ切られた前哨戦が、的場には逆転Vへの布石に見えていました。「(京都新聞杯では)逃げると見られていたキョウエイボーガンが出遅れて、ミホノブルボンがハナへ行った。ミホノブルボンは朝日杯3歳Sの時にかかっていたし、長い距離を走る血統ではなかった。対して、こっちはかからない。小さいけど血統的にも距離は持つし、おとなしくて頭がいい。ミホノブルボンがかかってくれれば、差せる確率は高いだろうと思った」

 さらに運も引き寄せました。「レース前に『枠はどこがいい? 』と家族に聞かれて、そうだな、真ん中より内、それもミホノブルボンの隣がいいなって答えたんだ」

 4枠7番ミホノブルボン、4枠8番ライスシャワー。「枠順を見て“やった〜”と思ったよ。これなら、自分が走る道はミホノブルボンがつくってくれる」

 レースは的場騎手のもくろみ通りに進みます。押してキョウエイボーガンが逃げ、2番手にミホノブルボン、3番手メイショウセントロで4番手にマチカネタンホイザ。その後ろの5番手にライスシャワーがいました。

「坂が2回あっても、ライスシャワーは俺が“行け”って言うまで行かなかった。レースを見返すと、ニヤニヤしながらターフビジョンを見てる俺が映っているはずだよ。それくらい余裕があったんだ」。確信を持って挑んだ一戦でした。

 今年の菊花賞ではライスシャワーを管理していた飯塚元調教師を伯父に持つ手塚調教師がソールオリエンスを送り出します。日本ダービー2着→セントライト記念2着の戦績は、くしくもライスシャワーと同じ。その話を振ると「(ライスシャワーの)新馬戦は1000メートルだったんだ。強い馬には関係ないんだよ」と手塚師。菊花賞(22日=京都芝外3000メートル)は各馬にとって未知の距離になります。皐月賞を制したソールオリエンスが再び強さを見せるのか、注目が集まります。

(美浦の3冠バルーン女子・三嶋まりえ)

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