シーザリオが唯一敗れた一戦 福永祐一“騎手”の手綱捌き光ったラインクラフトの桜花賞

2024年04月01日(月) 19:45

桜花賞を制したラインクラフト(c)netkeiba

 エピファネイアリオンディーズサートゥルナーリアと母として3頭のGI馬を送り出し、現代の日本競馬の血統表でその名を見ることも当たり前となりつつあるシーザリオ。競走馬としても日米のオークスを制するなど6戦5勝という素晴らしい成績を残している。

 そのシーザリオが唯一2着に敗れたのが05年の桜花賞だった。この年の牝馬クラシック第1弾、今となっては意外に思われるかもしれないが、混戦模様だった。1番人気は単勝3.9倍でシーザリオ。デビュー3連勝でフラワーCを制した無敗馬。ただ、主戦の福永祐一騎手がラインクラフトに騎乗するため、この日は吉田稔騎手が手綱をとった。そのラインクラフトが4.6倍の2番人気。ここまでの3勝が全て1400mだったため、マイルの距離が最大の課題とされていた。この2頭から少し離れて、武豊騎手騎乗のエルフィンSを制したエアメサイアが6.5倍で3番人気。さらにアンブロワーズエイシンテンダーまでが単勝オッズ1桁台だった。

 当時28歳、ラインクラフトを駆った福永祐一騎手(現・調教師)の手綱捌きが光った。旧コースの阪神芝1600mで不利と言われた外枠も何のその、17番枠から好位の外を確保。モンローブロンドがつくる前半5F58秒0のハイペースをリズム良く追走した。迎えた直線、押し切りを図るデアリングハートを残り100mで競り落として先頭へ。その刹那、外からシーザリオが襲い掛かってきたが、わずかにアタマ差抑えて先頭でゴール。見事に桜の女王の座に就いた。

 シーザリオは結果的に中程の7番枠がアダとなった。勝負どころで包まれた分、仕掛けが遅れたことで、結果的に生涯唯一の黒星となる2着。吉田稔騎手としては悔やまれるレースだっただろう。

 一方、このレースで評価を上げたのはデアリングハート。ハイペースを早め早めの立ち回りから粘り込んで3着に入った。そのデアリングハートは孫の代で3冠牝馬のデアリングタクトを出して、後に牝系としても評価を高めることとなる。そしてエアメサイアは4着。後方からジリジリと脚を伸ばしたものの、勝ち負けには届かず。後にオークスで2着、そして秋華賞を勝つことからも分かるように、マイルは距離不足だったといえるだろう。

 そんな名牝たちを退けたラインクラフトは、次戦となる5月のNHKマイルカップで牡馬も一蹴してGI連勝を決める。その2着となったのはデアリングハート桜花賞勢が1、2フィニッシュを決めて世代の強さを改めて証明した。

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