25戦25勝誇る“豪州の黒き短距離女王” 9月6日=黒の日にちなんで蹄跡振り返る

2024年09月06日(金) 12:15

ブラックキャビアが白星を挙げた英アスコット競馬場(写真はイメージ、撮影:高橋正和)

 現地時間8月17日、豪州の歴史的名牝ブラックキャビア(Black Caviar)が18歳で亡くなった。現役時代にG1・15勝を含む25戦25勝。母国だけでなく、ロイヤルアスコット開催でも白星を飾り、最強スプリンターの座を欲しいままにした。本稿が掲載される9月6日は語呂合わせから「黒の日」ということもあり、惜しまれつつこの世を去った“黒光りの短距離女王”を改めて振り返りたい。

 名前は“ブラック”キャビアだが、日本では青鹿毛の表記も見られる。これは個体差によって青鹿毛/黒鹿毛の判別がしにくく、国や言語によっては区別をしないためだ。

 現役生活は記録づくめだった。南半球の2歳秋にデビューを迎えると、芝1000mの電撃戦で5馬身差Vの鮮烈な幕開け。続いてリステッドをシーズンまたいで連勝し、重賞初挑戦のデインヒルS(豪G2)は3/4馬身差で初タイトルをつかむ。そこからますます勢いに乗り、10年10月のシュウェップスS(豪G2)まで重賞4連勝。満を持して駒を進めたパティナックファームクラシック(豪G1)でビッグタイトルを手にすると、500kgをゆうに超える大きな馬体はさらに輝きを増していく。

 連勝記録は途絶える気配なく、12年4月のロバートサングスターS(豪G1)で20連勝の大台に到達。12年6月には初めて国外遠征を敢行すると、英・アスコット開催のダイヤモンドジュビリーS(英G1)で白星を飾り、豪州のマイナー地区を含めた連勝タイ記録に達した。帰国後は自身の名を冠したブラックキャビアライトニング(豪G1)で先の記録を単独首位に塗り替え、同年のTJスミスS(豪G1)で「生涯無敗」「25連勝」「G1・15勝」を決めて現役を退いた。

 ブラックキャビアライトニング、TJスミスSではレーティング130を獲得。凱旋門賞を制したトレヴ(Treve)と並ぶ非常に高い評価を受け、豪州調教馬として史上初めて世界ランキング1位になった。

 引退後には生まれ故郷のヴィクトリア州ナガンビエに銅像も建てられた。ブラックキャビアは繁殖牝馬として過ごしていたが、24年8月17日に蹄葉炎が悪化したため死亡。その直前に出産した最後の産駒も、残念ながら生後1日でこの世を去ったという。

 出遅れや一瞬の判断ミスが命取りとなる電撃戦において無敗記録を樹立し、G1・15勝を含む25連勝を記録する馬など、今後そう現れないはずだ。彼女が残した功績はいつまでも色あせることはない。

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