中井騎手、ベローチェとの出会いと信頼回復

2016年01月20日(水) 07:43 1 3

 9日に京都競馬場で行われた淀短距離Sは、好スタートを決めてハナを奪ったローレルベローチェ(牡5歳、栗東・飯田雄三厩舎)が鮮やかに逃げ切って3連勝。デビュー5年目の中井裕二騎手(22)=栗東・フリー=はゴール入線後、パートナーの首に抱きつき、左手で優しくなでて“感謝”の思いを伝えた。

(中略)

 デビューから2年目の中井は、ただ前だけを見つめて後ろを振り返らなかった。これは多くの若手騎手が陥りやすい過ち。「自分ではやることはやっているつもりでした。あのころは、とにかく“チャンスをくれ!”という感じでした。でも、そんなに甘い世界ではありませんでした」。厩舎の信頼を失い、そして孤立−。フリーになったが、状況は良くならなかった。

 気がつけば騎乗数は減り、勝ち星は遠ざかり、かつて応援してくれていた人たちも周りから去っていった。孤独を感じ、自分を見つめ直した時に、ようやく大切なものが何かに気付いた。時を同じくして、プライベートで仲が良かった飯田哲矢助手(飯田雄厩舎)から気性の激しい馬の調教を頼まれた。それがローレルベローチェとの出会いだった。

 栗東坂路での調教は折り合いを欠いて制御ができなかった。そこで調教の場を平地コースに変えて、まずは並足から走りを教え込んだ。「気のいい馬で、口元も敏感。走るのを焦り過ぎている印象を受けました。正直、こんなに走る馬だとは思っていませんでした」。そう振り返るサクラバクシンオー産駒は、のちに破竹の3連勝を飾ってオープンの壁を突破。もがき苦しんでいた中井に希望の光をもたらせた。

(中略)

 リーディング上位の騎手への乗り代わりが当たり前となった時代だが、師は「あの馬はほかの誰かが乗っても返し馬でガツンと行ってしまうと思うよ」と今では中井に全権を委任。チャンスをつかんだ22歳に「前の厩舎で一度失敗しているのだし、気持ちを入れ替えて頑張ってほしい。今年から見習騎手の減量特典(デビュー後、3年から5年に延長。中井は1キロ減)をもらえる。ベローチェとともにアピールしてほしいね」とエールを送る。

(以下省略)


(デイリースポーツ 1月19日)

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