秋山真一郎騎手、カレンブラックヒルでの秋の復活誓う!

2013年06月04日(火) 18:00

 春の東京GIレース5週連続のファイナル安田記念は、世界のスプリント王者が貫禄のマイル制覇。これからの路線が大きく広がったロードカナロアです。どんなレースが待っているのか楽しみですね。

 安田翔助手に「距離に不安はないですか?」と聞いたら、「常さん、何言ってるんですか? 不安があったら出走させませんよ。一切ありません」と、きっぱり言い切られていました。さすがですね。厩ではどっしり構えたカナロアの馬体が艶々していましたね。

 今年のGIレースはどのレースにもドラマが生まれ、感動の連続でした。特にダービーは絆で結んだキズナ号と豊騎手と関係者。僕も取材させていただき光栄でした。

 ダービー後、豊騎手が「これからどんどん絆が強くなり深まっていくよ。これからですよ」とおしゃっていました。絆とキズナをかけてトークの上手いところもさすが豊さんです。いつやるの・・・今でしょう! って感じですね(笑)。

 さて、今週は、秋山慎一郎騎手に注目。

常石:ダービー週にディープインパクトCを、「サクラアドニス号」で優勝おめでとうございます。ダービーメモリーズで勝つなんて、やっぱりアキやんやな!

秋山:ありがとうございます。あのレースは先生の指示通り上手く乗れましたね。いい馬に出会うことができました。先が楽しみです。

秋山真一郎騎手

秋山真一郎騎手

初GI制覇の相棒・カレンブラックヒル

初GI制覇の相棒・カレンブラックヒル

常石:昨年のNHKマイルC(GI)を制したカレンブラックヒルで参戦した安田記念は、内の3番手絶好の位置をキープし、直線で一瞬伸びかけるかと思ったのですが残念でしたね。

秋山:ガツンとかかるところがなかったな。こんな馬じゃないんだけどな…。悔いを残した安田記念でした。立て直して、秋には復活します。黒鹿毛の馬体がゴール版をかける勇姿を見てくださいね。

常石:デビューから5連勝で強かったですよね。この馬と出合って、GIを制覇し、レースに対する意識は変わりましたか?

秋山:特にないですが、GIに限らずレースに対するゆとりというか、余裕ができてしっかり乗れるようになったと思う。ようやくこの何年間で落ち着いて乗れるようになって来ました。僕は社交性が無く面識の無い方と話すのは苦手なんです。だから実戦で結果を出していかないと、僕の存在を認識してもらえないでしょう。ローカルに行くことが多かったんですが、中央で乗る機会が増えてきましたね。

常石:デビューして2年目でカネトシガバナーで重賞初勝利。その後、野村厩舎のキョウエイマーチで京都金杯や阪急杯を勝っていますよね。ずっと重賞を勝っているでしょう。

秋山:野村先生にはお世話になっています。グッと我慢をし僕を乗せてくれ、育ててくれました。いくら感謝しても足りないくらいです。マイルCSから引退まで、キョウエイマーチにはずっと乗せて貰いました。強烈な馬で、瞬時の反応がよくパワーがあって、僕はつかまってるだけでよかったんです。大きなレースに勝てるチャンスをいつも頂いていました。

他の厩舎の馬でレースをしているときも、必ず先生は見てくれています。だから今の僕があるんだと思います。とっても居心地のいい厩舎なんですよ。おかげで15年連続で重賞を勝つことができたが、GIがなかなか獲れなかったんですよ。

常石:今年の中盤で761勝(6/4現在)。年末には800勝も見えてきますね。僕のひとつ後輩ですが、デビューした時からアキやんの追い方が格好いいなとずっと思ってたんですが? 騎乗ファームがきれいだよね。

クールな秋山騎手、お茶目な一面も!

クールな秋山騎手、お茶目な一面も!

秋山:ちょっと照れるな(照笑)。子供のころに豊さんや河内先生を見ていて格好いいなとずっと思っていました。騎手になったら格好良く乗れるようにしようと努力しました。そういう騎手になりたいと思って騎手を目指しましたからね。馬に跨ったら格好良くというのがぼくの理想です。

常石:馬と一体になったスタイルから入るのが一番きれいなんでしょうね。そうするとレースもスムーズに運べるんだろうね。お父さんも騎手だったでしょう。影響はありますか?

秋山:おやじの乗っていた記憶はあんまりないね。まだ幼かったから、競馬のこともあまり話しませんでした。でも、僕のレースはいつも見てくれているようです。見守られている安心感はありますよ。

常石:いつもDVDなどで騎乗スタイルをチェックしているそうですが。

秋山:映像を見てレースの騎乗馬を追いかけ、イメージをします。自分の騎乗している格好がとっても気になります。馬は上下に動きながら前に進むでしょう。そのうえでじっとしていれば楽でしょう。でも自分のイメージしているフォームを保つのは難しいです。髪型とか顔を鏡で見るより、馬に乗っている姿をチェックしたいですね。自分の努力次第でどうにでもできるものだと思っています。

騎乗論について熱く語る二人

騎乗論について熱く語る二人

常石:米国式騎乗スタイルですよね。人馬一体になって流線型できれいだよね。

秋山:裸馬が走る時って、のびのび走ってると思うんです。だから邪魔する乗り方はしたくないんです。“無”になることができたら馬も走りやすいだろうな。ひとつでも多く勝ちたいですが、人間の勝手な欲目だからできるだけ馬に伝わらないように無心で跨っていきたいと思っています。もっと腕を磨かないとね。

常石:自分が勝つのではなく、馬と共に勝つことをいつも考えているんだなと、改めて秋山騎手を再発見できました。最後にファンの方にメッセージをお願いします。

秋山:ずっと騎手を続けていたいと思います。生の馬と生の騎手がレースをする競馬場に来てください。本物が見つかると思います。

常石:ありがとうございました。

 ホンマもんを追求する秋山騎手の意気込みをぐっさと感じましたね。僕も今日から鏡を見る時は、顔の一部分ではなく自分の体のためにかっこよく歩けるようスタイリッシュにしよう(左に麻痺があるために身体が歪んだ歩き方をしているのですが、フォームを考えて自分のために格好良く歩こう! 一生歩くのだから)。今度チェックしてね。アキやん!(笑)。常石勝義ことつねかつでした。[取材:常石勝義/栗東]

◆次回予告
いよいよ次週末から函館開催が開幕! そこで次回の「競馬の職人」は、函館参戦する丸田恭介騎手に赤見千尋さんが直撃取材します。公開は6/11(火)18時。お楽しみに。

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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