【祐一History vol.9】『あの騎乗は本気でシビれた ―田原成貴さんとの記憶』

2014年07月22日(火) 18:00

祐言実行

◆教えを習得できるまで喰らいついていれば

 1998年、皐月賞。キングヘイローは、豊さん騎乗のスペシャルウィーク、典さん騎乗のセイウンスカイに次ぐ3番人気に支持された。僅差の4番人気に、幹夫さん騎乗のエモシオン。このときはまだ、ダービーのような完全なる3強ではなかった。

 6枠12番から外目の3、4番手を追走。4コーナーでも手応えは抜群で、終始、典さんを見ながらの競馬だったが、4コーナーを回ったところで一気に典さんに突き放された。そこからまた盛り返してギリギリまで詰め寄ったが、半馬身差まで迫ったところがゴール。こうして初めての皐月賞は2着に終わった。

 そのときの自分は、2着という結果に満足していた。巧く乗った、そう思っていた。でも、調整ルームで(田原)成貴さんに、思いっ切り「下手くそ!」と言われた。続けて成貴さんは、「お前、今日のレースは勝ってたぞ」とも言った。具体的なレクチャーはなかったけれど、今思えば、あの難しい中山の2000mを3年目の自分が完璧に乗れるはずはない。“巧く乗った”なんて、とんだ勘違いだったのだ。

 皐月賞当時の成貴さんは、・・・

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祐言実行とは

2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。

福永祐一

1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。

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