2014年10月03日(金) 18:00
もともと岩手競馬の直営場外「テレトラック釜石」として稼働していたものが、震災の津波によって全壊。民間からの公募によって、同じ場所に新たにオープンするのが、釜石場外発売所だ。
個人的なことで恐縮だが、テレトラック釜石にはちょっとした思い出がある。馬券で大儲けをした……とかではない。震災後、被災地の様子を実際に見て、記憶にとどめておきたいと思い、新幹線を使って比較的行きやすかったのが釜石で、そこには被災したテレトラックもあるということで、震災から4カ月ほどののちの7月に足を運んだのだった。
テレトラック釜石は、小高い丘が両側から迫る河川敷にあり、なるほど津波が来ればこの谷間に押し寄せてきてひとたまりもないだろうなあという場所にあった。建物の外観こそ原型をとどめていたが、その内部はぐしゃぐしゃで、たしかにそこを巨大な何かが突き抜けていったという様子だった。
被災したテレトラック釜石
場外発売所の再開というのも、その地域の競馬ファンにとては、ひとつの復興といっていいだろう。さらに震災からの復興ということでは、いよいよ1カ月後に迫った、盛岡競馬場でのJBCがある。
盛岡競馬場でのJBC開催は、2002年の第2回以来12年ぶりのこと。施設の充実した盛岡競馬場でのJBC開催が、なぜ10年以上もの間、実施されなかったかといえば、資金難からの存廃問題と、その後の大震災の影響があったからだ。
詳しく説明すると長くなるのだが、2007年の存廃問題では、一旦は岩手競馬廃止が表明され、シーズン開幕直前になっての逆転存続があった。そうした状況で、ギリギリの予算で競馬開催を継続していたところに起きたのが、2011年3月11日の大震災だった。
いずれかひとつだけをとっても、そのまま岩手競馬がなくなっていても不思議ではない状況だった。それでも関係者の努力でなんとか競馬を続けることができ、さらに地方競馬IPATなどの効果もあって、ここ2年続けて馬券発売額が前年比でアップしている。
2014年、第14回のJBCの開催場に「盛岡」という場所が刻まれるのは、奇跡的なこととすら思えるのだ。
今回のJBCは、廃止の危機から、そして震災から立ち直った岩手競馬のひとつの象徴として、例年以上に盛り上がることを期待したい。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
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