2014年11月13日(木) 12:00
自分自身に勝つを競馬にも見い出すことができる。かつて、ウオッカとともに自身の世代が最強であることをエリザベス女王杯で証明したダイワスカーレットだ。桜花賞と秋華賞を圧勝し、牝馬ながらダービーを制したウオッカとの二強対決の筈が、レース当日の朝、ウオッカが右寛跛行を発症して出走を取り消し、わずかキャリア7戦の3歳馬が、昨年と一昨年の覇者フサイチパンドラとスイープトウショウの追撃を受けなければならない。先行脚質だから目標にされるのは明らか。ダイワスカーレットが初の対古馬戦でどう戦うか、期待とともに不安も大きかった。ところが、パドックで悠然と周回を重ねる姿は、実に堂々としている。松田国英調教師は、オンとオフがはっきりしていて、落ちついてカイバも食べるし、情緒の安定している馬と悟っていたのだ。
騎手が乗ると直ちに走る態勢に入るので安藤勝己騎手はゲートに向うまでしばらく鐙から足を外していた。そして、鐙に足をかけるとステップがリズミカルになり、レースでは終始逃げて、相手が迫ると自分も脚を伸ばし、女王の座についていたのだった。自分自身に勝つ本物の強さをダイワスカーレットは見せてくれていた。
アルゼンチン共和国杯を勝ち、充実の秋を迎えているフェイムゲームにも、自分自身に勝つ姿を見ることができた。素直になって人に反抗しなくなったことで、気分良く前向きに走れるようになったと北村宏騎手は言っていたが、徐々に加速していく威力が増していることは容易に分かる。自分自身に勝てたフェイムゲームの今後が楽しみだ。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
プロフィール
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