ダービーウイークの10年

2015年06月12日(金) 18:00


変動が目立つ佐賀、落ち込みが気になる岩手

 5月31日〜6月5日に行われた地方競馬の『ダービーウイーク』では、NARのウェブハロンでその年ごとに総括文を書かせていただいているが、今年はダービーウイーク10年目の節目でもあり、ここでは10年間の売上についてまとめてみた。各“ダービー”ごとの売得額の推移は表のとおり。

 日程的には6月第1週に行われるのが基本だが、曜日の並びによって一部が5月末にかかることもある。北海道、大井、兵庫、名古屋は開催曜日は固定。週末開催が基本となっている佐賀、岩手については、開催日の調整が難しく、年によって対応が異なっている。08〜10、14、15年は日〜金曜日の6日間連続開催。なお同一年で同じ曜日があっても同日ではなく、1週違いの開催となっている。

 まず開催曜日や売上の変動が目立つのは佐賀。09年まで4千万円台で推移していたものが、10年に2千万円台まで激減したのは、この年は南関東での開催がなかったことが原因のようだ。地方競馬IPATでの発売がなかった当時、南関東場外発売への依存はそれほど大きいものだった。11年から平日開催に移行したのはそのためと思われる。ただ13年は日曜日にすれば地方競馬IPATで発売できたはずだが、平日のままとし、14年からは日曜日の地方競馬IPATに発売を乗せたことで、ここ2年は順調に売上を伸ばしてきた。

 岩手は震災のあった11年に売上がガクンと落ち込んだのは仕方ないとして、その後も今年まで落ち込み続けているのがちょっと気になるところ。昨年まで落ち込んでいたのはともかく、今年に限っては、単勝元返しの断然人気馬いて、さらに出走取消があって6頭立てになったことが原因と思われる。実際に、今年の“ダービー”当日1日の売上では、岩手も含めて全場で前年比100%超となっている。

 北海道では今年、地方競馬IPATでの発売がなかったにももかわらず伸びが著しく、過去最高を記録した。ホッカイドウ競馬では14年度の年間売得額の1日平均が前年比で110.6%となっており、その好調ぶりが“ダービー”にも好影響を与えたのではないか。

 大井は上下動を繰り返しているので、これといった感想はない。ただもともとの売上額が大きいので、地方競馬IPATの売上もそう大きな影響は与えないのではないか。

 兵庫は地方競馬IPATでの発売が始まってからの3年で順調に売上を伸ばし、今年ついに過去最高を記録した。兵庫では金曜ナイターを地方競馬IPATで発売することができないという悩みが依然としてあるだけに、注目すべきレースで売上がアップしているのはいいことだと思う。

 名古屋も上下動はあるものの、特にこれといった私見はない。ただ今年、“ダービー”の売上が前年比で109.6%と健闘したとはいえ、ピークの10年より1千万円以上下回っているのはちょっと寂しい。

 全体的に見ると、09年から12年まで売上が下降気味だったところ、13年度、14年度と全国ほぼすべての主催者で年間の売上が上昇してきたのと連動して、ダービーウイークの売上も(岩手を除いて)上昇傾向にある。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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